RGGモチーフに対するシトルリン化修飾の意義を解明 ~タンパク質凝集性およびALS発症への関与~
RGGモチーフに対するシトルリン化修飾の意義を解明 ~タンパク質凝集性およびALS発症への関与~
Cell Reports https://doi.org/10.1016/j.celrep.2018.01.031
シトルリン化修飾はPADファミリーによって担われる翻訳後修飾の一種ですが、その生理的意義の全貌は明らかとなっていません。東京大学の谷川千津助教、松田浩一教授、がん研究会、理化学研究所、名古屋大学らの研究グループは、シトルリン化修飾が、FETタンパク質の凝集性を制御することにより、ALS発症に関与することを示しました。
質量分析を用いた網羅的探索により、159のタンパク質がPAD4の基質として同定され、これらには、ALS関連タンパク質であるFETタンパク質やhnRNPファミリーなどのRNA結合タンパク質が多く含まれていました。さらに、シトルリン化修飾のコンセンサス配列としてRGGモチーフを決定し、同モチーフを標的とするアルギニンメチル化修飾とシトルリン化は競合的に働き、タンパク質の機能を制御していることを明らかとしました。
また、ALS関連タンパク質はその凝集性が病態と深く関係していますが、これらタンパク質の凝集性がシトルリン化修飾により強く制御されていることが明らかとなり、ALSにおけるタンパク質凝集のメカニズムの一端が示されました。本成果は、難治性疾患であるALSの治療薬の開発につながる可能性が期待されます。
本研究成果は、2018年2月6日午後12時(アメリカ東部時間)に米科学誌「Cell Reports」にオンライン公開されます。
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