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がん遺伝子パネル検査に寄せる期待と懸念とは? -がん患者・一般市民を対象としたインターネット調査の結果より-

がん遺伝子パネル検査に寄せる期待と懸念とは? -がん患者・一般市民を対象としたインターネット調査の結果より-

Journal of Human Genetics, 2019年1月10日 DOI番号:10.1038/s10038-018-0555-3
永井亜貴子1、李怡然2、武藤香織1
1 東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター公共政策研究分野 2 東京大学大学院学際情報学府文化・人間情報学コース博士後期課程
Attitudes toward genomic tumor profiling tests in Japan: patients, family members, and the public

東京大学医科学研究所公共政策研究分野の永井亜貴子特任助教と武藤香織教授、東京大学大学院学際情報学府の李怡然大学院生らによるグループは、がん患者やがん患者の家族、一般市民を対象としてがん遺伝子パネル検査に関する意識調査を行い、同検査の認知度や、同検査に対する期待や懸念について明らかにしました。
がんに関連する遺伝子を網羅的に調べるがん遺伝子パネル検査は、医療への応用が急速に進んでいます。日本では、がん遺伝子パネル検査に対する態度に関する調査はほとんど行われておらず、がん患者や一般市民がどのような期待や懸念を持っているかは明らかではありませんでした。本研究では、がん患者やがん患者の家族、一般市民を対象として意識調査を行いました。調査の結果、がん遺伝子パネル検査の認知度は約2~3割と低いこと、がん患者とがん患者の家族は一般市民よりも同検査のベネフィットを高く認識している人が多いことが明らかになりました。また、がん患者の約7割、がん患者の家族の約8割が生殖細胞系列変異の結果を共有したいと考えていることがわかりました。本研究により明らかとなったがん遺伝子パネル検査に関する認知度や態度は、今後がんゲノム医療の実装するにあたって必要な社会的基盤を検討する際に貴重な資料となると期待されます。本研究の成果は、2019年1月10日付でJournal of Human Genetics誌(オンライン版)に公開されました。