ES細胞よりも分化が進んだ前駆細胞から特定の組織に限定したキメラを作製する手法の開発
ES細胞よりも分化が進んだ前駆細胞から特定の組織に限定したキメラを作製する手法の開発
Cell Stem Cell 11月3日付(日本時間11月4日) オンライン版 DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.stem.2016.10.013
東京大学医科学研究所の中内啓光教授、正木英樹助教とスタンフォード大学の共同研究チー
ムは、アポトーシスを阻害することによって、ヒトES 細胞/iPS 細胞と同じ着床後多能性状態
にあるとされるマウスおよびラットのEpiSC、さらにより分化の進んだマウス内胚葉系前駆細
胞を用いてマウス着床前胚との間にキメラを作製することに成功した。
これまで中内教授らのグループはES 細胞/iPS 細胞からの動物体内での臓器作製に取り組ん
で来たが、今回の成果と組み合わせることで、ナイーブ型多能性幹細胞を用いなくてもキメラ
動物作製が可能になる、目的以外の臓器形成を回避できることから生命倫理的な懸念の解消に
つながるなど、動物体内での移植可能なヒト臓器作製の実現可能性が大きく高まった。
本研究は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の革新的先端研究開発支援事業
インキュベートタイプ(LEAP)における研究開発課題「発生原理に基づく機能的立体臓器再
生技術の開発」(研究開発代表者:中内啓光)ならびに国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)
の戦略的創造研究推進事業総括実施型研究(ERATO)中内幹細胞制御プロジェクト(研究総括:
中内啓光、平成24 年度終了)の一環として行われた。
本研究成果は11 月3 日付の科学雑誌Cell Stem Cell のオンライン版に掲載される。