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西村栄美教授、令和3年度 文部科学大臣表彰 科学技術賞を受賞

2021年04月06日
癌・細胞増殖部門 老化再生生物学分野の西村栄美教授(東京医科歯科大学難治疾患研究所教授)が、「組織幹細胞の運命制御と皮膚毛包の再生老化機構の研究」において、令和3年度 文部科学大臣表彰 科学技術賞を受賞しました。

体を構成する組織や臓器は、そのライフスパンにおいて種々のストレスに晒されながら組織幹細胞を起点とした再構築を繰り返しています。しかし、その老化過程における幹細胞の動態や運命が未解明であったため、どのようなプロセスを経て典型的な老化形質の発現や加齢関連疾患の発症へと繋がるのか、そのメカニズムは未解明でした。

西村教授は、毛包幹細胞など皮膚の組織幹細胞を長期にわたりマウス生体内で追跡し、そのライフスパンにおけるその運命と動態の解析に成功しました。その結果、幹細胞は加齢や放射線などのストレスによりその幹細胞分裂、運命、動態を大きく変化させ、その枯渇・疲弊による機能細胞の供給不全により萎縮や脱毛などの老化形質発現へと至ることを明らかにしました。

本研究により、組織幹細胞を制御する技術を開発し、ヒト皮膚や毛包の再生・老化を制御しうる組成物の探索・同定に成功し、幹細胞が創薬の標的として有望であることを示しました。

本成果は、今後、脱毛症の予防や治療のみならず、他の加齢関連疾患の予防や治療、超高齢化社会における国民の健康長寿へと繋がり、社会・経済の活性化に寄与することが期待されます。