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清野宏・東京大学名誉教授、日本学士院賞を受賞

2024年3月12日、本研究所の元所長で、本学名誉教授の清野宏先生が、日本学士院賞を授与されることが決定しました。

授賞の研究題目は「齲蝕ワクチンの研究から始まった粘膜免疫学の創生と経口・経鼻ワクチンの開発」です。
清野先生は、口腔疾患の一つであった齲蝕(うしょく)のワクチン研究を原点として、粘膜免疫学の黎明期からその研究と発展に貢献してこられました。呼吸器と消化器粘膜面でのIgA抗体産生という「正の応答」と寛容という「負の応答」をバランスよく制御・調節している粘膜免疫機構の解明を先導し、粘膜免疫学の知識基盤を広め、その発展に寄与してこられました。粘膜免疫学を基盤とした粘膜ワクチンの開発も推進し、冷蔵・冷凍保存(コールドチェーン)を必要とする既存ワクチンの課題克服を目指し、医農異分野融合研究の下、常温備蓄用のコメ型経口ワクチンであるMucoRice開発を先導し、有効性を示されました。また、呼吸器粘膜面が負電荷であることに着目し、正電荷のアミノ基を付加したプルラン・コレステロールを骨格としたカチオン化ナノゲル(cCHP)を経鼻ワクチンデリバリー体として医工連携で開発されました。cCHPに呼吸器感染症病原体(例、肺炎球菌、RSV)のタンパク抗原を封入したcCHP経鼻ワクチンが抗原特異的免疫を誘導し、その有効性を示されました。

教職員一同、心よりお喜び申し上げます。

日本学士院賞授賞の決定について (日本学士院ホームページ)
https://www.japan-acad.go.jp/japanese/news/2024/031201.html#009