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DNA・RNA高次構造が関与する神経疾患の病態解明と創薬研究

国際共・共拠点セミナー

開催情報

開催日時 2024年2月22日(木)16:00~17:30
開催場所 医科学研究所 講堂
演者 塩田 倫史
所属・職名 熊本大学発生医学研究所 教授
国名 日本
演題 DNA・RNA高次構造が関与する神経疾患の病態解明と創薬研究
使用言語 日本語
世話人 RNA制御学分野 教授 稲田利文

概要

 DNAの基本的な右巻き二重らせん構造は「B型DNA」と呼ばれる。一方、ヘアピン・左巻き・三重鎖・四重鎖など「非B型」と呼ばれる高次構造も存在する。非B型のひとつであるグアニン四重鎖(G4)構造は、グアニンが豊富な配列領域の一本鎖DNAもしくはRNAで形成される。私達はこれまでに、1) G4構造が神経細胞内に豊富に形成され、神経発達依存的にその形成が変化すること、2) G4構造の異常が脳機能障害を引き起こすこと、3)既承認医薬品の中からG4構造に作用する安全性の高い薬剤を同定し、その薬剤によりG4結合タンパク質の遺伝子変異マウスと患者における認知機能低下が有意に改善されること、4) G4 構造が異常形成されるリピート伸長病ではG4構造がプリオノイドを促進すること、5) G4構造はストレス顆粒の中核となること、などを報告してきた。また、非B型ヘアピン構造の異常形成は遺伝性神経変性疾患「CAG/CTGトリプレットリピート伸長病」の発症に関与する。私達はCAG/CTGリピートDNAと特異的に結合する新規化合物を見出し、ハンチントン病と筋強直性ジストロフィー 1 型の脳機能低下に対する改善作用を見出した。