部門長 山梨 裕司
癌・細胞増殖部門では、細胞の増殖、分化、細胞死、老化、再生、運動、接着やその他の機能発現を制御する細胞内外のシグナル伝達機構を解析し、細胞の癌化や浸潤、転移、老化などにおける病的な変化の解明を通じて、宿主、微小環境との相互作用を含めた癌の本質を探求している。そのために、従来の分子細胞生物学的、病理学的、マウス遺伝学的解析に加えて、プロテオミクス、分子イメーシジング、構造生物学、物理化学、数理科学などの学際的手法を積極的に取り込み、その成果を基盤とするトランスレーショナルリサーチの推進を目指している。当該部門の各分野においては、以下の研究が進められている。1)腫瘍抑制分野:多様な細胞機能を制御するシグナル伝達機構と癌や神経筋疾患などの難治性疾患におけるその破綻に関する研究、並びに疾患モデル動物の病態生理学的な解析と治療技術開発、2)癌防御シグナル分野:個体における発がん防御、および老化制御機構の解明と、これらを標的とした革新的ながん治療法・予防法、抗加齢療法の開発、並びにエピゲノム異常の発がん初期過程における役割の解明、3)老化再生生物学分野:組織幹細胞を中心とした再生、老化、癌化の研究ならびにその制御技術の開発。なお、これらの研究活動に加え、部門主催のセミナーを積極的に開催することにより様々な研究交流を促進し、また、大学院生、若手研究者による英語研究発表会の継続的な開催を通じて若手の育成を推進している。