研究組織

自然免疫学分野

植松 智

腸管は、食餌性抗原や常在菌に対して免疫寛容を誘導する一方で、侵入してくる病原体に対しては適切に免疫応答を誘導し、その排除を行います。腸管粘膜に存在している樹状細胞やマクロファージといった自然免疫細胞は、非常にユニークな特性を持っており、Th17細胞、制御性T細胞、IgA産生B細胞の誘導など腸管に特徴的な獲得免疫応答を誘導します。

当研究室では腸管粘膜に存在する個々の自然免疫細胞の機能を丹念に明らかにし、活性化と寛容の絶妙なバランスをとる腸管免疫の全貌に迫りたいと考えます。自然免疫は免疫応答の「入り口」であり、そこをコントロールすることによって免疫全体を制御できると思われます。また、バイオインフォマティクスを駆使し、細菌、真菌、バクテリオファージといった腸内共生微生物叢の解析パイプラインの構築と網羅的なメタゲノム解析を実践しています。

最近の研究により、腸内微生物叢の異常が様々な疾患と関連する報告がなされており、病態の原因、増悪に関わる腸内微生物の同定を試みます。宿主側の重要な因子である腸管の自然免疫細胞、寄生体側の因子である腸内常在微生物を標的として、難治性の炎症性腸疾患、花粉症などのアレルギーの新規治療法、肥満や糖尿病などの代謝疾患の制御、より強力な癌治療、次世代粘膜ワクチンの開発を進めて行きます。

当研究室では、東京大学大学院医学系研究科に属し、修士課程・博士課程の学生を受け入れています。大学院生には、粘膜免疫解析における基本手技の習熟、実験デザイン、論文作製と段階的に指導を行う様にしています。その後、独自にテーマを設定してプロジェクトを完遂してもらい、独立して研究を遂行できるプロフェッショナルな粘膜免疫研究者の育成に努めたいと思っています。

将来、免疫の活性化、寛容の誘導を自由に行うことを夢見て研究を行っています。興味のある方は、是非研究室に訪れて下さい。

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