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新学術領域「幹細胞老化と疾患」国際活動支援 派遣報告

共同研究者:シンガポール国立大学(NUS)がん科学研究所(CSI)
      Senior Research Scientist 遠藤 充浩(教授 須田 年生)
招聘先:熊本大学国際先端医学研究拠点施設 滝澤 仁
期 間:H29年 3月21日-31日(11日間)
目 的:FLCN欠損マウスの骨髄および脾臓の解析
 国際活動支援の連携先の一つである、シンガポール国立大学がん科学研究所の須田年生教授は造血幹細胞解析の世界的権威です。今回、がん抑制遺伝子Folliculin (FLCN)の造血幹細胞の分化・維持における役割を明らかにする目的で、須田研究室の研究員である遠藤充浩さんに約2週間来ていただきました。近年、造血幹駆細胞の維持や老化において、細胞内代謝制御が重要な役割を果たすことが明らかになりつつあります。FLCNは腎臓がん等の症状を示すBirt-Hogg-Dube(BHD)症候群の原因遺伝子であり、ミトコンドリア活性など細胞内代謝の制御に関わると考えられています。須田研究室の遠藤さんとのこれまでの共同研究によりFLCNが細胞内代謝および炎症反応を制御する可能性が見出されています。そこで今回はこの知見を生体内で検証するために、熊本大学国際先端医学研究拠点施設の私と馬場理也先生と遠藤さんの共同で、FLCN欠損マウスの骨髄と脾臓の解析を行いました。結果として細胞内代謝と炎症反応の関連を示唆する興味深いデータを得ることが出来ました。また研究者同士が直接会うことによって情報交換やディスカッションが進み、熊本大学とシンガポール国立大学双方の研究の発展につながる意義深い共同研究になりました。
 また、遠藤さんには滞在中に千葉大学にも寄っていただき、ポリコーム群PCGF6に関するセミナーおよび岩間研究室の教室員との情報交換を行ってもらいました。共同研究は現在も継続中であり、細胞内代謝や炎症反応による造血幹細胞老化制御の解明を目指した研究をより一層進めていきたいと思っております。
新学術領域「幹細胞老化と疾患」国際活動支援 派遣報告
熊本大学国際先端医学研究拠点施設のメンバーとの写真
新学術領域「幹細胞老化と疾患」国際活動支援 派遣報告
千葉大学医学部細胞分子医学教室のメンバーとの写真