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新型コロナウイルス感染症( COVID-19 )の病態解明 / 予防・治療法の開発
ハムスターの感染動物モデルとしての有用性

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の病態解明 / 予防・治療法の開発
ハムスターの感染動物モデルとしての有用性

Proc Natl Acad Sci U S A(6月22日オンライン版)URL: https://doi.org/10.1073/pnas.2009799117
Masaki Imai, Kiyoko Iwatsuki-Horimoto, Masato Hatta, Samantha Loeber, Peter J. Halfmann, Noriko Nakajima, Tokiko Watanabe, Michiko Ujie, Kenta Takahashi, Mutsumi Ito, Shinya Yamada, Shufang Fan, Shiho Chiba, Makoto Kuroda, Lizheng Guan, Kosuke Takada, Tammy Armbrust, Aaron Balogh, Yuri Furusawa, Moe Okuda, Hiroshi Ueki, Atsuhiro Yasuhara, Yuko Sakai-Tagawa, Tiago J. S. Lopes, Maki Kiso, Seiya Yamayoshi, Noriko Kinoshita, Norio Ohmagari, Shin-ichiro Hattori, Makoto Takeda, Hiroaki Mitsuya, Florian Krammer, Tadaki Suzuki, Yoshihiro Kawaoka
Syrian hamsters as a small animal model for SARS-CoV-2 infection and countermeasure development
東京大学医科学研究所感染・免疫部門ウイルス感染分野の河岡義裕教授らの研究グループは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染モデル動物として、ハムスターが有用であることを見出しました。

2019年末に中国で発生したCOVID-19の爆発的流行が世界規模で続いています。本感染症の病態を理解し、それに対する効果的な治療法や予防法を開発するには、ヒトの症状を再現できるモデル動物が必要です。

本研究グループは今回、患者から分離した新型コロナウイルスのハムスターにおける増殖性と病原性を調べました。その結果、新型コロナウイルスはハムスターの肺などの呼吸器でよく増えること、感染ハムスターの肺における病変は、COVID-19患者でみられた病変と類似していることがわかりました。また、本ウイルスに一度感染したハムスターは、再びウイルスが体内に入っても感染しないことがわかりました。さらに、感染後であっても、回復期血清を感染ハムスターに投与すれば、呼吸器でのウイルス増殖が抑制されることも判明しました。

ハムスターをCOVID-19の感染動物モデルとして利用することで、本感染症の病態解明と、それに対する治療法や予防法の開発が大きく進展することが期待されます。

本研究成果は、2020年6月 22日(米国東部時間 正午)、米国科学雑誌「Proc Natl Acad Sci U S A」のオンライン速報版で公開されました。

なお本研究は、東京大学、米国ウイスコンシン大学、国立感染症研究所、国立国際医療研究センターが共同で行ったものです。本研究成果は、日本医療研究開発機構(AMED)新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業の一環として得られました。
 

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