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国産ゲノム編集技術CRISPR-Cas3を用いたCOVID-19迅速診断法の開発
-最短40分で試験紙による正確な診断が可能に-(medRxivにて発表)

Rapid and accurate detection of novel coronavirus SARS-CoV-2 using CRISPR-Cas3

著者:Kazuto Yoshimi, Kohei Takeshita, Seiya Yamayoshi, Satomi Shibumura, Yuko Yamauchi, Masaki Yamamoto, Hiroshi Yotsuyanagi, Yoshihiro Kawaoka, Tomoji Mashimo medRxivew (2020年6月2日)
DOI:10.1101/2020.06.02.20119875 URL:https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.06.02.20119875v1
 
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大や重症化を防止するためには、医療現場で迅速かつ簡単に利用できる新しいCOVID-19迅速診断法が求められています。

今回、東京大学医科学研究所先進動物ゲノム研究分野の吉見一人講師、真下知士教授らは、国産ゲノム編集技術CRISPR-Cas3(注1)により、サンプル中の微量なウイルスRNAを正確に検出する手法(CONAN法(注2))を開発し、COVID-19迅速診断法として確立しました。この新しいCRISPR検査法を用いて、最短40分で数十個(数十コピー)のウイルスRNAの有無を試験紙で検出することに成功しました。

COVID-19患者由来サンプルを用いた結果、陽性一致率(PPA)は90%(9例 / 10例)、陰性一致率(NPA)は95.3%(20/21例)を示し、PCR検査法とほぼ同等の検出感度、検出特異度であることを確認しました。
このCRISPR検査法は、一般的な試薬と試験紙、保温装置(注3)があれば実施できるため、安価で素早くだれでも簡単に診断できるPOCT(注4)になると考えられます。

今後、野外や医療現場、空港など様々な場所で使用できるCOVID-19診断薬として実用化することで、新型コロナウイルスの更なる感染拡大や重症化の防止に大きく貢献することが期待されます。
 
図 COVID-19に対する診断法の概要

(注1)CRISPR-Cas3
多くの細菌は、獲得性免疫に似た「CRISPR-Cas(クリスパー-キャス)システム」と呼ばれる防御システムを備えています。CRISPR-Cas3は、 細菌、古細菌が持つCRISPRシステムの中でClass1に属するCRISPRシステムのことです。複数タンパク質の複合体でDNAを人工的に切断する国産ゲノム編集ツールとして、2019年に開発されました。

(注2)CONAN法
今回開発した微量な核酸の検出法で、CONAN(Cas3 Operated Nucleic Acid detectioN)法と名付けました。狙った配列を認識するCRISPR-Cas3タンパク質と検出用DNAプローブの混合液をバイオセンサーとして利用することで、サンプル中の標的配列が有るか無いかを、正確かつ迅速に検出することができます。

(注3)保温装置
温度を一定に保つ装置。アルミブロックを用いた恒温槽やウォーターバスなどが知られており、省電力で、使い方も非常に簡単で誰にでも扱うことができる装置です。本CRISPR検査法では37℃もしくは62℃の設定で利用しています。

(注4)POCT(臨床現場即時検査)
Point Of Care Testingの略。簡易機器や迅速診断キットを用いて、野外や医療現場でリアルタイムに行う迅速検査のことです。検査機関で行われるPCR検査などに比べて検査時間の短縮が見込まれ、その場で罹患者への対応ができる利点があります。


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