乳がんにおけるホルモン療法の効果と予後を左右するメカニズムを発見
乳がんにおけるホルモン療法の効果と予後を左右するメカニズムを発見
Journal of Clinical Investigation 2018年11月12日オンライン版
一般的に、女性ホルモン受容体(エストロゲン受容体)を持ち、かつ増殖因子受容体を持たない乳がんは、乳がん細胞の増殖が女性ホルモンであるエストロゲンに応答していることから、タモキシフェンをはじめとした抗エストロゲン剤(SERM)投与が有効であり、比較的治療効果が高く予後の良い乳がんです。しかし、約20%程度のエストロゲン受容体陽性乳がんは抗エストロゲン剤の効果が低く予後の悪い高リスクな症例で、それを鑑別する方法や、なぜ抗エストロゲン剤が作用しないのかについては全くわかっていませんでした。研究チームはFbxo22という分子が、エストロゲン受容体陽性乳がんに対して抗エストロゲン剤の効果を左右し、予後の決定に重要な役割を果たしていることを明らかにしました。
実際に、乳がん患者さんの生検検体や病理検体を解析したところ、Fbxo22タンパク質の発現
が低い乳がんは、抗エストロゲン療法に抵抗性で再発率が高い高リスクな乳がんであることがわかりました。今後、Fbxo22をマーカーとして治療選択を行うための診断法が確立され、このメカニズムを標的とした新たな治療法が開発されることが期待されます。
この研究成果は2018年11月12日、国際学術雑誌「Journal of Clinical Investigation」のオンライン版で公開されました。