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高津聖志・東京大学名誉教授、紫綬褒章を受章

2023(令和5)年春の褒章が公表され、本研究所の元副所長で、本学名誉教授の高津聖志先生が紫綬褒章を受章されました。

高津名誉教授は、長年にわたり免疫学の教育と研究に従事され、免疫学の発展のみならず、医薬品の創出を通して国民の健康増進にも多大な貢献をされてきました。
喘息をはじめとするアレルギー性疾患では、白血球の一種である好酸球が増加し、過剰に活性化され、病態の形成や増悪に関与しますが、好酸球の活性化メカニズムは不明でありました。高津名誉教授は、体内で好酸球を活性化させる生理活性物質インターロイキン5(Interleukin 5, IL-5)とその受容体を世界で初めて発見し、その作用メカニズムを解明しました。この研究成果は、サイトカインの発見と作用機構の解明を通して免疫学に貢献したばかりでなく、IL-5を標的とすることで好酸球の活性化を制御し得るという新たなアレルギー性疾患治療戦略の可能性を示し、新規医薬品創出への道を開くことになりました。現在までに、IL-5の作用を阻害する抗体は、難治性の喘息患者に対する新たな治療選択肢となったばかりでなく、指定難病である好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の難治症例に供される初めての医薬品となりました。今後さらに適応疾患が拡大すると予想されております。このように、高津名誉教授は基礎医学での成果を臨床応用にまで発展させた数少ない研究者のひとりといえます。

この度の高津名誉教授のご受章を教職員一同、心よりお祝い申し上げます。