新しい体外増殖プラットフォームを用いた造血幹細胞のゲノム編集
国際共・共拠点セミナー
開催情報
開催日時 | 2021年4月28日(水)9:00~9:30 |
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開催場所 | オンライン開催(Zoom) ※聴講希望者はaya-oka[at]ims.u-tokyo.ac.jpまで |
演者 | ベッカー・ハンス・次郎 |
所属・職名 | 筑波大学、幹細胞治療研究室・外国人特別研究員 / 東京大学医科学研究所、幹細胞生物学分野・客員研究員 |
国名 | 日本 |
演題 | 新しい体外増殖プラットフォームを用いた造血幹細胞のゲノム編集 |
使用言語 | 英悟 |
世話人 | 内田 直也 |
概要
造血幹細胞(HSCs)は遺伝子治療の理想的な標的細胞と考えられており、近年CRISPR/Cas9のようなゲノム編集ツールの急速な普及により、造血幹細胞におけるゲノム編集は注目されている。骨髄における造血幹細胞の頻度は低いため、ゲノム編集した造血幹細胞を移植するには生体外(ex vivo)で培養する必要があるが、造血幹細胞をex vivoで増殖させた際に自己複製能が失われる現象は重要な研究課題となっている。当研究室は過去数年にわたり、造血幹細胞の増殖に適した培養条件を確立することに注力してきた。近年、合成ポリマーとサイトカインを用いた無血清の条件下において、造血幹細胞の自己複製能を維持させたまま大幅に増殖させることに成功した。また、この培養システムをゲノム編集に応用し、Cas9で編集し増殖させた造血幹細胞によって、重症複合型免疫不全症(SCID)モデルの免疫不全の改善を示した。さらに、選択マーカー遺伝子を使用せずに、ゲノム編集した造血幹細胞を1個から増殖させるシステムを新たに確立したため、各クローンをシーケンスに基づきダイレクトに選択できるようになった。本セミナーでは、この新しい造血幹細胞増殖プラットフォームの背景、ゲノム編集やその他の造血幹細胞を中心とした治療への有用性を示す。