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平成24年度共同利用・共同研究拠点 成果報告会

平成24年度共同研究拠点・成果報告会 所長挨拶

本日はお忙しい中、東京大学医科学研究所共同研究拠点事業、平成24年度成果報告会にご参加頂き誠にありがとうございます。皆様方には日頃、本事業のためにご尽力をいただき、心より感謝申し上げます。
一昨年前の今日、日本は奇しくも未曽有の大惨事、東日本大震災に見舞われました。実際に被害に遭われた方々の苦痛は私たちの想像をはるかに超えていることと思いますが、同時に日本国民に対しても暗澹たる大きな影を落としたのも事実です。 以来、私たちは本事業において、サイエンスの面から被災された研究者の方々に何か支援ができないかと考え、「東日本大震災被災研究者支援」として共同研究課題を受け入れてまいりましたが、あまりにも微力で、大変憂慮致しておりました。その様な中、昨年、山中伸弥博士がノーベル生理学・医学賞を受賞されましたことは、サイエンスが日本全体に希望の明かりを灯すのに大きく貢献できることを示し、それと同時に私たちは真摯な気持ちで努力し続ける重要性を痛感致しました。医科研としましては、サイエンスの面において、微力ではありますが復興支援と日本が前進する推進力となる様、皆様と共に努力してまいりたいと思います。
さて。本事業は開始から3年目となり、皆様方のご支援のもと徐々に軌道に乗ってまいりました。平成25年度の採択課題につきましては、関係会議において審査・審議した結果、51課題の採択が決まったところです。平成25年度は今年度より採択数が16課題増え、私共の拠点が全国の研究機関から関心を持って頂いていることに感謝申し上げると共に、本事業の発展的な進展がうかがえ、大変嬉しく思います。また、平成24年度は国際シンポジウム、若手研究者シンポジウム、公開セミナー「ラブラボ」を開催すると共に、あわじしま感染症・免疫フォーラム等多数のシンポジウム、セミナーへも協力させていただき、若手研究者の育成、情報の発信という面でも力を入れてまいりました。
一方、共同研究拠点を取り巻く環境と致しましては、文部科学省が推し進める新学術領域研究の領域代表者に医科研から5名の教員が選ばれており、医科研がハブとなって異なる様々な領域研究を結び付けることで、共同研究のより一層の拡充を目指しております。さらに医科研は唯一病院を備えた国立大学附置研究所ですので、トランスレーショナルリサーチを含めた、病院を持つ利点を活かした共同研究の取り組みも推進してまいりたいと思っています。これからも医科研共同研究拠点を全国の皆様にご活用頂き、そこから新たな研究のシーズが誕生し、発展することを切に願っております。
本日は平成24年度に終了する課題全てについて、研究成果をご報告して頂きます。演題数は17課題と多く、研究領域も多岐にわたっておりますので、皆様には本事業における共同研究の幅の広さを実感して頂けることと思います。どうぞ、活発なご議論を頂くと共に、本日は最後までご参加頂けますようお願い申し上げます。
最後にこの報告会を基に、皆様の本事業へのご理解が深まり、それが医科研共同研究の益々の発展へと繋がることを心より願っております。どうぞ今後とも皆様のご指導、ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

東京大学医科学研究所
所長 清野 宏

平成24年度共同研究拠点・成果報告会


平成25年3月11日(月)、医科学研究所1号館講堂にて、平成24年度共同研究拠点・成果報告会を開催致しました。本拠点事業を開始して3年が経ち、24年度に終了する課題は17課題、その研究テーマは様々でした。しかしながら、いずれの課題も医科研の特徴を充分に活かした共同研究であり、本拠点事業が幅広い分野の研究者の方々に活用され、実を結んできていることが伺えました。また、報告会には、所内外の研究者や学生等の参加があり、 演者の先生方の発表後、質疑応答が行われ、参加者の関心の高さも伺うことができました。

○先端医療研究開発共同研究領域
座長:藤堂具紀先生

 
①樋口 孝先生 (東京慈恵会医科大学)
  ライソゾーム病モデルiPS細胞を用いたライソゾーム病の病態解析
②渡辺恵理先生 (東大医科研)
  原発性免疫不全症に対する臍帯血ミニ移植後の混合キメリズムの解明と治療法の開発
③日下部岳広先生 (甲南大学)
  脊索動物モデルを活用した高精度なシス調節配列予測法の開発
④河野隆志先生 (国立がん研究センター研究所)
  クロマチンリモデリング蛋白質の転写制御標的遺伝子の同定
⑤醍醐弥太郎先生 (滋賀医科大学)
  新規肺がんペプチドワクチン療法の臨床開発研究
⑥世良田聡先生 (医薬基盤研究所)
  悪性胸膜中皮腫に対するサイトカインシグナル伝達抑制分子(SOCS)を用いた遺伝子治療法の臨床応用
⑦鈴木哲朗先生 (浜松医科大学)
  ウイルス性慢性肝疾患治療用の新規アデノウイルスベクターの開発

      ①            ②           ③           ④


      ⑤           ⑥            ⑦

○疾患システム共同研究領域
座長:井上純一郎先生

 
①井田弘明先生 (久留米大学)
  遺伝性自己炎症疾患の細胞株を利用した炎症シグナル伝達とプロテオミクス解析
②藤田美歌子先生 (熊本大学)
  NF-κB活性化経路を精密に阻害する低分子化合物の合成
③越川直彦先生 (東大医科研)
  がんにおけるTGF-βシグナルとMT1-MMPのクロストークのin vivo光イメージング
④栗林 太先生 (川崎医科大学)
  GCN5ファミリーによるタンパク質リン酸化のエピジェネティック制御機構の解析および発癌・癌悪性化への関与の検討
⑤本村政勝先生 (長崎大学)
  筋特異的受容体型チロシンキナーゼ活性化機構の破綻と筋無力症
⑥田村研治先生 (国立がん研究センター中央病院)
  接着分子を対象とした新規分子標的治療マーカーの研究

      ①            ②           ③           ④


      ⑤           ⑥

○感染症・免疫共同研究領域
座長:川口 寧先生

 
①高橋一郎先生 (広島大学)
  粘膜系記憶T細胞の誘導・維持機構の解明
②植松 智先生 (東大医科研)
  腸管系樹状細胞と自然免疫受容体群の解析による感染免疫機構の解明
③鈴木樹里先生 (京都大学)
  新世界ザルの生物学的特性の解明
④牧野晶子先生 (京都大学)
  ウイルスタンパク質内のTLRシグナル伝達阻害ペプチドの探索と評価

      ①            ②           ③           ④


閉会の辞:三宅健介先生