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概要
大阪大学大学院医学系研究科の上田洋行さん(遺伝統計学 博士後期課程(研究当時)/内分泌・代謝内科学)、久保田智哉准教授(臨床神経生理学)、下村伊一郎教授(内分泌・代謝内科学)、髙橋正紀教授(臨床神経生理学)、岡田随象教授(遺伝統計学(研究当時)、先端モダリティ・DDS研究センター 教授(研究当時)/東京大学大学院医学系研究科 遺伝情報学 教授/理化学研究所生命医科学研究センター システム遺伝学チーム チームリーダー)、総合花巻病院の槍沢公明院長らの研究グループは、日本人の重症筋無力症(MG)発症群1,434例と非発症群42,913例を対象とした、アジア人集団として世界で初めての大規模ゲノムデータセットを構築し、ゲノムワイド関連解析(GWAS)を実施しました。その結果、5番染色体のTERT遺伝子領域にMGの発症と関連する遺伝子座を新規に同定しました。また、病型分類ごとに層別化GWASを実施した結果、全身型の抗アセチルコリン受容体(AChR)抗体陽性群のうち胸腺腫関連群ではTERT遺伝子と、胸腺腫非関連群ではHLA遺伝子と有意な関連を示し、病型特異的な遺伝的背景を有することを明らかにしました。
さらに、TERT遺伝子座で最も強い関連を示した一塩基多型※9(リードSNP)は一部の病型において治療抵抗性とも関連を示し、フェノムワイド関連解析(PheWAS)※10においては肺がんやテロメア※11長などの複数形質とも関連を示し、この多面的な影響を持つ多型であることを示しました。
MG合併胸腺腫検体の公開データを用いたシングルセルデータ※12の解析および病理組織標本の免疫染色を行うと、TERT遺伝子は胸腺腫の未熟T細胞に細胞種特異的に発現していました。またRNAシーケンスの結果、MG発症のリスクアレルを有する場合にTERT遺伝子の発現が低下していることも示しました。
本研究成果によりMGの発症、病態に関わる遺伝的背景の解明が進み、将来的な新薬開発や個別化医療の実現へ貢献することが期待されます。
本研究成果は、2026年3月12日に英国科学誌「Nature Communications」に掲載されました。
【上田 洋行さん(大学院生)のコメント】
ゲノムデータと病型分類や治療反応とを組み合わせて解析することにより、臨床的な視点も踏まえて重症筋無力症の遺伝的背景を明らかにすることができました。本研究の成果が、世界中の多くの研究者や医師たちに利用され、重症筋無力症の病態解明や治療戦略の発展に貢献できることを心より願っております。本研究は、Japan MG Registryをはじめ、多分野・多機関にまたがる共同研究体制によって支えられてきました。ご協力いただいた全ての共同研究者、技術支援スタッフ、研究資金提供機関、そして貴重な検体をご提供くださった皆様に、心より御礼申し上げます。
研究の背景
重症筋無力症(MG)は神経筋接合部※13に対する自己抗体により神経筋接合部の刺激伝達が障害される自己免疫疾患です。主な症状は眼瞼下垂や筋力低下であり、重症化すると呼吸困難や歩行障害などをきたします。生活の質(QOL)が低下することに加えて、一般に長期間の治療が必要であり、場合によっては治療費が高額になることから、患者さんにとって社会的損失や経済的損失が大きな問題となっています。MGの発症には遺伝的要因と環境要因との両方が関与していると考えられています。これまでにGWASを中心としてMG発症に関する遺伝的要因についてのいくつかの先行研究がありますが、いずれも欧米人集団を対象としており、アジア人集団を対象としたGWASの報告はありませんでした。また、MGは病型により治療予後や合併症などの臨床的特徴が大きく異なることが知られていますが、これまでは一部の病型を対象とした解析にとどまっていました。
本研究の内容
本研究グループは、Japan Myasthenia Gravis Registry※14(JAMG-R、代表:総合花巻病院 槍沢公明院長)に参画する国内14施設から抽出した日本人の重症筋無力症発症群1,434名、バイオバンク・ジャパン(BBJ)※15から抽出した非発症群42,913名を対象として、世界で初めてアジア人集団のMGについて構築したデータセットによりGWASを実施しました。その結果、これまでに報告されているHLA領域に加えて、5番染色体のTERT遺伝子領域にMGの発症と関連する遺伝子座を新規に同定しました(図1、2)。
また、日本のガイドラインで提唱されている病型分類であるO/g-ELTMuN分類※16に沿って、全ての病型を網羅した病型分類ごとの層別化GWASも実施しました。その結果、TERT遺伝子は全身型の抗AChR抗体陽性群(g-AChR-Ab(+)MG)の中でも胸腺腫関連MG群(g-TAMG)と、HLA遺伝子は胸腺腫非関連MG群(g-TA(-)MG)と有意に関連していました(図1、2)。
さらに、日本人のリファレンスパネル※17を用いてSNPタイピング※18の情報から推定したHLA多型※19について関連解析を行ったところ、胸腺腫非合併群の中でも早期発症群(g-EOMG)ではHLA-Aのアミノ酸多型、後期発症群(g-LOMG)ではHLA-DRB1*08:03アレルと最も強い関連を示しました。以上のことからMGの発症には病型特異的な遺伝的要因があることを明らかにしました(図1)。
図2:全MG症例および病型層別化GWASの結果
次にTERT遺伝子座のリードSNPと治療反応性との関連を解析すると、g-AChR-Ab(+)MGとg-EOMGにおいてはMG発症のリスクアレルを有していることが治療抵抗性と有意に関連していました。また、BBJおよび東北メディカル・メガバンク機構※20のデータを用いて125の疾患と76の量的形質を対象としたPheWASを実施したところ、MG発症のリスクアレルを有していると肺がんのリスクが上昇し、テロメア長が短くなる傾向がありました。このことから、このリードSNPは様々な形質とも関連を示す多面的な影響を持つことを見出しました(図1)。
最後に、MG合併胸腺腫の摘出標本を用いたTERT遺伝子の発現解析を行いました。公開データを用いたシングルセルデータおよび病理組織標本の免疫染色において、TERT遺伝子は末梢血にはほとんど発現せず、胸腺腫の中でもダブルネガティブT細胞やダブルポジティブT細胞といった未熟なT細胞に組織特異的かつ細胞種特異的に発現していました(図1)。
また、メッセンジャーRNA※21の全長を捕捉できるRamDA-seq※22の技術を用いた胸腺腫のRNAシーケンス※23を行うことで、リスクアレルを有しているとアレル特異的にTERT遺伝子の発現が低下することを見出しました。リードSNPは転写因子※24SP-1、SP-3の結合部位に位置することが知られていますが、転写因子の結合モチーフ解析ではリスクアレルにおいてこれらの転写因子との結合親和性が低下していました(図1)。これらの結果からTERT遺伝子座のリードSNPはTERTの発現制御に関わる機能を有することを示しました。
また、日本のガイドラインで提唱されている病型分類であるO/g-ELTMuN分類※16に沿って、全ての病型を網羅した病型分類ごとの層別化GWASも実施しました。その結果、TERT遺伝子は全身型の抗AChR抗体陽性群(g-AChR-Ab(+)MG)の中でも胸腺腫関連MG群(g-TAMG)と、HLA遺伝子は胸腺腫非関連MG群(g-TA(-)MG)と有意に関連していました(図1、2)。
さらに、日本人のリファレンスパネル※17を用いてSNPタイピング※18の情報から推定したHLA多型※19について関連解析を行ったところ、胸腺腫非合併群の中でも早期発症群(g-EOMG)ではHLA-Aのアミノ酸多型、後期発症群(g-LOMG)ではHLA-DRB1*08:03アレルと最も強い関連を示しました。以上のことからMGの発症には病型特異的な遺伝的要因があることを明らかにしました(図1)。
最後に、MG合併胸腺腫の摘出標本を用いたTERT遺伝子の発現解析を行いました。公開データを用いたシングルセルデータおよび病理組織標本の免疫染色において、TERT遺伝子は末梢血にはほとんど発現せず、胸腺腫の中でもダブルネガティブT細胞やダブルポジティブT細胞といった未熟なT細胞に組織特異的かつ細胞種特異的に発現していました(図1)。
また、メッセンジャーRNA※21の全長を捕捉できるRamDA-seq※22の技術を用いた胸腺腫のRNAシーケンス※23を行うことで、リスクアレルを有しているとアレル特異的にTERT遺伝子の発現が低下することを見出しました。リードSNPは転写因子※24SP-1、SP-3の結合部位に位置することが知られていますが、転写因子の結合モチーフ解析ではリスクアレルにおいてこれらの転写因子との結合親和性が低下していました(図1)。これらの結果からTERT遺伝子座のリードSNPはTERTの発現制御に関わる機能を有することを示しました。
本研究成果が社会に与える影響(本研究成果の意義)
本研究は世界で初めてアジア人集団を対象として、MGのGWASによりMGには病型特異的な遺伝的背景が存在することを明らかにしました。またTERT遺伝子がMGの治療反応性や病態に関与している可能性も示すことができました。本研究成果が今後のMGの新薬開発や個別化医療の実現といった治療戦略の発展に貢献することが期待されます。
論文情報
【雑誌名】 Nature Communications
【題名】 “Elucidating genetic backgrounds of myasthenia gravis in Japanese by genome-wide association studies and multi-omics analyses of thymoma”
【著者名】 Hiroyuki Ueda1,2, Tomoya Kubota3,4, Risa Goto3, Akari Suzuki5, Takafumi Ojima1,6-10, Kotaro Ogawa1,4, Kyuto Sonehara1,6,7, Shinichi Namba1,6,7, Tatsuhiko Naito1,6,7, Qingbo Wang1,6,7, Shingo Konno11, Makoto Samukawa12, Naoki Kawaguchi13, Takashi Kimura14, Takamichi Sugimoto15, Hiroyuki Murai16, Takemori Yamawaki17, Kenichi Kaida18, Daiki Tokuyasu6,19, Manato Yasuda20, Hiroyuki Akamine20, Yosuke Onishi20, Yosuke Ogawa6,21, Yuya Shirai1,22,23, Ryuya Edahiro1,7,22, Kenichi Yamamoto1,23-25, Hideki Nagata26, Naoko Ose26, Jun Takayama8-10, Ken Suzuki1,27, Shinichi Higashiue28, Shuzo Kobayashi28, Hiroki Yamaguchi29, Yasushi Okazaki30, Naoyuki Matsumoto30, Kenta Motomura31, Hidenobu Koga31, Japan Myasthenia Gravis Registry, BioBank Japan Project, Tohoku Medical Megabank Project Study Group, Koichi Matsuda32, Gen Tamiya8-10, Masayuki Yamamoto9,10, Toshimasa Yamauchi27,33, Takashi Kadowaki34, Kazuhiko Yamamoto5, Akiko Ohno3, Tatsusada Okuno4, Eiichi Morii35, Hideki Mochizuki4,36, Yuriko Nagane37, Naoya Minami38, Akiyuki Uzawa20, Masayuki Masuda39, Shigeaki Suzuki20,40, Iichiro Shimomura2, Yasushi Shintani26, Kimiaki Utsugisawa37, †Masanori P. Takahashi3,4,41, and †Yukinori Okada1,6,7,23,42
【所属】
1. 大阪大学大学院医学系研究科 遺伝統計学
2. 大阪大学大学院医学系研究科 内分泌・代謝内科学
3. 大阪大学大学院医学系研究科 臨床神経生理学
4. 大阪大学大学院医学系研究科 神経内科学
5. 理化学研究所 生命医科学研究センター 自己免疫疾患研究チーム
6. 東京大学大学院医学系研究科 遺伝情報学
7. 理化学研究所 生命医科学研究センター システム遺伝学チーム
8. 理化学研究所 革新知能統合研究センター
9. 東北大学大学院 医学系研究科
10. 東北メディカル・メガバンク機構
11. 東邦大学医療センター大橋病院 脳神経内科
12. 近畿大学医学部 脳神経内科学
13. 脳神経内科 千葉
14. 兵庫医科大学 脳神経内科学
15. 広島大学大学院医系科学研究科 脳神経内科学
16. 国際医療福祉大学医学部 脳神経内科学
17. 福島生協病院 脳神経内科
18. 埼玉医科大学総合医療センター 脳神経内科
19. 慶應義塾大学医学部 脳神経内科
20. 千葉大学大学院医学研究院 脳神経内科学
21. 東京大学大学院医学系研究科 小児科学
22. 大阪大学大学院医学系研究科 呼吸器・免疫内科学
23. 大阪大学免疫学フロンティア研究センター(IFReC) 免疫統計学
24. 大阪大学大学院医学系研究科 成育小児科学
25. 大阪大学大学院医学系研究科 小児科学
26. 大阪大学大学院医学系研究科 呼吸器外科学
27. 東京大学大学院医学系研究科 代謝・栄養病態学
28. 徳洲会 湘南鎌倉総合病院
29. 日本医科大学 血液内科
30. 順天堂大学大学院医学研究科 難病の診断と治療研究センター
31. 株式会社麻生 飯塚病院
32. 東京大学医科学研究所 附属ヒトゲノム解析センターシークエンス技術開発分野(兼:同大学大学院 新領域創成科学研究科 メディカル情報生命専攻クリニカルシークエンス分野)
33. 日本医療研究開発機構(AMED) 革新的先端研究開発支援事業(CREST)
34. 虎の門病院
35. 大阪大学大学院医学系研究科 病態病理学
36. 国立病院機構 大阪刀根山医療センター
37. 総合花巻病院 脳神経内科
38. 国立病院機構 北海道医療センター 脳神経内科
39. 東京医科大学 神経学
40. 東京都立病院機構 東京都立神経病院 脳神経内科
41. 大阪大学大学院連合小児発達学研究科(UGSCD)
42. 大阪大学ヒューマン・メタバース疾患研究拠点(WPI-PRIMe)
(†責任著者)
【DOI】 10.1038/s41467-026-70376-5
【URL】 https://www.nature.com/articles/s41467-026-70376-5
【URL】 https://www.nature.com/articles/s41467-026-70376-5
研究助成
本研究は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)、日本医療研究開発機構–戦略的創造研究推進事業(AMED-CREST)事業、JSPS科研費、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)ムーンショット型研究開発事業、武田科学振興財団、小野薬品がん・免疫・神経研究財団、大阪大学大学院医学系研究科バイオインフォマティクス・イニシアティブ、大阪大学先導的学際研究機構(OTRI)、大阪大学感染症総合教育研究拠点(CiDER)、AMED SCARDAワクチン開発のための世界トップレベル研究開発拠点の形成事業「ワクチン開発のための世界トップレベル研究開発拠点群大阪府シナジーキャンパス(大阪大学ワクチン開発拠点)」(JP223fa627002)、理化学研究所科学研究基盤モデル開発プログラム(TRIP-AGIS)、日本血液製剤機構、アステラス製薬株式会社、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)次世代研究者挑戦的研究プログラム(SPRING)、大阪大学卓越大学院プログラム(WISE program)、厚生労働省-難治性疾患政策研究事業の支援を受けて行われました。
用語説明
※1 重症筋無力症(MG)神経筋接合部に対する自己抗体により神経筋接合部の刺激伝達が障害される自己免疫疾患。主な症状は眼瞼下垂や筋力低下であり、重症化すると呼吸困難や歩行障害などをきたす。
※2 ゲノムワイド関連解析(GWAS)
Genome Wide Association Study。ヒトゲノム配列上に存在する数百万~数千万か所の遺伝子変異と疾患や形質との発症の関係を網羅的に検討する、遺伝統計解析手法。
※3 TERT遺伝子
テロメラーゼ逆転写酵素をコードし、染色体末端のテロメアを維持、修復する酵素であるテロメラーゼのサブユニットを構成する遺伝子。正常細胞ではほぼ発現していないが悪性腫瘍などでは過剰発現を示すことがあり、これまでにTERTの多型と悪性腫瘍との関連が報告されている。
※4 抗アセチルコリン受容体抗体
神経筋接合部にあるアセチルコリン受容体に対する自己抗体。この抗体によりアセチルコリンを介した神経から筋肉への指令伝達が阻害されると重症筋無力症を発症する。重症筋無力症の原因として最も頻度の高い自己抗体。
※5 胸腺腫
胸部の中央に位置する縦隔という部分の中にある胸腺という免疫に関わる組織にできる腫瘍。重症筋無力症をはじめ様々な自己免疫疾患を合併することがある。
※6 HLA遺伝子
免疫系が自己と非自己を識別するための分子であるヒト白血球抗原(HLA)をコードする遺伝子群。ヒトの主要組織適合遺伝子複合体(MHC)領域に存在し、HLA遺伝子型は自己免疫疾患や感染症を中心に多くの疾患と関連することや移植医療において不適合があると拒絶反応のリスクが上昇することが知られている。
※7 リスクアレル
父親由来、母親由来からなる1対の遺伝子のセットであるアレルの中で、持っていると特定の疾患に発症するリスクが高まるアレルのこと。
※8 未熟T細胞
骨髄で生まれたリンパ球の一種であるT細胞の前駆細胞が胸腺へ移動し、成熟・分化する過程にあるT細胞のこと。細胞の表面にCD4、CD8受容体を発現していないダブルネガティブT細胞(DNT)から、両者を発現するダブルポジティブT細胞(DPT)を経て、最終的にどちらか一方を発現するT細胞に成熟・分化して末梢へ出ていく。
※9 一塩基多型
SNP。ヒトゲノムの特定の位置における1塩基の違いで、個人間の遺伝的多様性を構成する最も一般的な変異形式。
※10 フェノムワイド関連解析(PheWAS)
特定のSNPを対象として様々な形質情報(疾患や血液検査のデータなど)との関連を網羅的に解析する手法。
※11 テロメア
真核生物の染色体の両端にあるDNA-タンパク複合体で、染色体情報を保護する役割を持つ。細胞分裂のたびに少しずつ短くなり、一定の長さ以下になると細胞分裂が停止して細胞死にいたる。
※12 シングルセルデータ
個々の細胞ごとに得られた分子情報(例:遺伝子発現量や受容体配列など)の解析のこと。細胞集団内の多様性や状態変化を単一細胞解像度で解析可能である。
※13 神経筋接合部
運動神経の終末部と骨格筋との接合部で、神経終末部からアセチルコリンという刺激伝達物質が放出され、筋膜にあるアセチルコリン受容体がそれを受け取ることで信号伝達が行われて筋肉が興奮、収縮する。
※14 Japan Myasthenia Gravis Registry
JAMG-R。多施設調査で得られる多数例の詳細な臨床情報を解析し、得られたデータに基づき重症筋無力症の良質な治療を実現することを目的とした研究グループ。本研究ではJAMG-Rに参画する医療機関から収集された検体の一部を使用した。(http://mg.kenkyuukai.jp/about/)
※15 バイオバンク・ジャパン(BBJ)
日本全国の協力医療機関の患者約27万人を対象とした生体試料バイオバンクであり、ゲノムDNAや血清サンプルを臨床情報とともに収集・管理しており、研究者や企業に試料・情報の提供を行っている。2003年からの10年間で集められた第1コホートと2013年からの5年間で集められた第2コホートで構成される。本研究では収集された試料・情報の一部を使用した。(https://biobankjp.org/)
※16 O/g-ELTMuN分類
重症筋無力症/ランバート・イートン筋無力症候群診療ガイドライン2022において提唱されている重症筋無力症の病型分類。症状の部位(眼筋限局型、全身型)、抗アセチルコリン受容体抗体および抗筋特異的チロシンキナーゼ抗体(抗MuSK抗体)の有無、胸腺腫の有無、発症年齢(50歳以上、未満)により病型を分類する。
※17 リファレンスパネル
既知の遺伝子多型を高精度に決定した多数の個人のゲノムデータセットのこと。遺伝子多型の推定を行う際に参照データとして用いる。
※18 SNPタイピング
特定の一塩基多型(SNP)の有無や型を調べる遺伝子解析技術。高スループットに多数の個体を対象とした遺伝子型決定が可能で、GWASなどに広く用いられる。
※19 HLA多型
HLA遺伝子領域に見られる多様性。免疫応答や感染症、自己免疫疾患などとの関連が知られる。
※20 東北メディカル・メガバンク機構
日本人集団15万人を対象とした生体試料バイオバンクであり、ゲノムDNAおよびその解析結果や血清サンプルを臨床情報とともに収集・管理しており、研究者や企業へのデータ提供や分譲を行っている。東日本大震災の被災地域住民の健康情報やゲノム情報をもとに医療復興にも取り組んでいる。本研究では収集された検体の一部を使用した。(https://www.megabank.tohoku.ac.jp/)
※21 メッセンジャーRNA
タンパク質合成を行うための設計図となるRNA。DNAに記録されている遺伝情報からタンパク質合成に使われる部分だけが転写(コピー)されることで作られる。
※22 RamDA-seq
通常のRNAシーケンスでは捕捉が難しいメッセンジャーRNAの全長を補足することができる解析技術。これまであまり読み取れていなかった領域の配列情報について生命機能や疾患との関連を解明できることが期待されている。(https://doi.org/10.1038/s41467-018-02866-0)
※23 RNAシーケンス
生物由来組織のRNA配列を網羅的に読み取る解析手法。DNAのどの部分からRNAに転写されて遺伝子として発現しているのかについて解析することで、遺伝子の機能的な解析が可能となる。
※24 転写因子
DNA上の特定の配列に結合し、遺伝子からRNAへの転写を促進もしくは抑制するタンパク質。
本件に関する問い合わせ先
岡田 随象(おかだ ゆきのり)東京大学大学院医学系研究科 遺伝情報学 教授
大阪大学 先端モダリティ・DDS研究センター(CAMaD)教授(研究当時)
理化学研究所生命医科学研究センター システム遺伝学チーム チームディレクター
https://genome.m.u-tokyo.ac.jp/members.html
髙橋 正紀(たかはし まさのり)
大阪大学大学院医学系研究科 保健学専攻 臨床神経生理学 教授
大阪大学大学院連合小児発達学研究科 教授
https://sahswww.med.osaka-u.ac.jp/~neurolog/members.html
<報道に関すること>
大阪大学大学院医学系研究科 広報ブランディングオフィス
https://www.med.osaka-u.ac.jp/
東京大学大学院医学系研究科 総務チーム
https://www.m.u-tokyo.ac.jp/
東京大学医科学研究所 プロジェクトコーディネーター室(広報)
https://www.ims.u-tokyo.ac.jp/
