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バイオバンク・ジャパンとナイチンゲールヘルスジャパン 大規模血清メタボローム解析の共同実施で日本の個別化医療・疾患予防研究推進へ 

日本国内で20万人以上の研究参加者の試料・情報を保有するバイオバンク・ジャパン(以下BBJ)とナイチンゲールヘルスジャパン株式会社(ナイチンゲールヘルス公開株式会社(以下ナイチンゲール社:本社フィンランド)の日本支社、以下NHJ)は、日本人の疾患リスクを明らかにし、個別化医療と疾患予防を目指す研究を実施することになりました。本共同研究では、2020年11月より、NHJの解析施設にてBBJが保有する血清検体を用いたパイロット解析を行い、解析方法等の検証を終えています。現在は本解析を進めており、すでに1万件の解析を実施しています。

本共同研究では、BBJから提供される最大65万の血清検体を対象に大規模メタボローム解析(代謝物質のすべて(メタボローム)を対象とした、代謝物の種類や濃度の網羅的な解析)をNHJが実施します。NHJで解析された血液のバイオマーカー情報がBBJに提供され、様々な研究に利活用される事で医学研究の発展につながることが期待されます。一度の解析で個々の血清検体について250種類のバイオマーカーが測定されます。この解析研究により、さまざまな疾患おいて、日本人の食習慣、生活習慣、そして遺伝的背景の影響が、世界の他の地域と比べて異なっているかどうかなど、これまでに明らかになっていなかった側面を解明できると考えられます。すでに、この研究成果により、NHJがこれまでに欧米人でのデータを元に構築した疾患リスク予測方法が日本人でも当てはまることを明らかにしています。 

BBJとNHJは、本共同研究の長期的継続により、個別化医療と疾患予防に向けた成果をさらに発展させていきたいと考えています。 


Peter Würtz, ナイチンゲール社科学担当責任者兼共同創始者: 
「私たちとバイオバンク・ジャパンとの共同研究は、既に、ナイチンゲール社の技術が日本で有用であることを示しています。特定の地域の検体を用いた解析は、集団ごとの環境や、生活習慣、遺伝的な因子の違いを考慮すべきであることを確認するためにも重要です。さらに、私たちの疾患リスク検出モデルが日本人集団でもあてはまることも示されています。今後、私たちは、毎月数千の試料の解析を進めていきますが、その結果からさらに新しい知見を生み出すことを大いに期待しています。 」

森崎 隆幸, 東京大学医科学研究所客員教授 (バイオバンク・ジャパン事務局長): 
「ナイチンゲール社の技術により得られる健康と疾患リスクに関する包括的な情報はユニークで、様々な研究に応用でき、科学的に貴重な研究成果の創出につながると考えます。日本の、そして世界の皆様の健康・医療に貢献するというバイオバンク・ジャパンの目的の達成に向けて、本共同研究がさらに新しい知見を生み出すことを期待しています。」

 

 問い合わせ先

ナイチンゲールヘルスジャパン
Minja Salmio, 代表取締役
Teemu Suna,ナイチンゲールCEO最高経営責任者
ir@nightingalehealth.com


バイオバンク・ジャパン事務局
〒108-8639 東京都港区白金台4-6-1 東京大学医科学研究所内
電話 : 03-5449-5122 Fax : 03-6409-2060


ナイチンゲール社
ナイチンゲール社は核磁気共鳴の技術を利用した計測と人工知能による解析で、慢性疾患に対する予防医学に大きな変革をもたらす技術と情報提供を開発している企業です。ナイチンゲール社は単に疾患を治療するのではなく、人々の健康を維持することに焦点を当てる世界の創造をめざして、世界中のさまざまな大学、公的機関、企業と共同研究を行っています。この目的のために、先駆的な血液解析技術と将来の疾患発症リスクの検出能力をあわせて、より良い情報によって疾患予防に寄与する世界最先端の健康情報プラットフォーム創出に取り組んでいます。こうしたプラットフォームは、人々の健康維持・健康増進に向けた意思決定につながり、また、個人個人の疾患予防に役立つ情報の提供や産業の発展などにつながるものと期待されます。

バイオバンク・ジャパン
バイオバンク・ジャパン(BBJ)は、東京大学医科学研究所に設置されている日本最大の疾患バイオバンクです。本バンクは、文部科学省のリーディングプロジェクトとして2003年に設置され、これまでに約27万人の患者さんの参加協力により 、64万本以上の血液(血清)試料と約27万人分のDNA試料と臨床情報を収集しています。BBJではこれらの試料・情報を保管するとともに、日本のルール(法律やガイドラインなど)に従って多くの研究者に提供しています。またBBJは、研究成果の公開を通じて、国民の健康・福祉に貢献しています。 

本研究プロジェクトは、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)によるゲノム医療実現バイオバンク利活用プログラム(ゲノム研究バイオバンク)「利活用を目的とした日本疾患バイオバンクの運営・管理」の支援を受けて実施しています。

PDF版はこちらよりご覧になれます(PDF:371KB)