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公募班員紹介

造血幹細胞の機能維持を司るリボソーム生合成経路の検証

松井 啓隆(熊本大学 教授)
松井 啓隆
松井 啓隆
リボソームは、RNAポリメラーゼI/IIIによるpre-rRNAの転写と多段階にわたるプロセシング、および約80種類のリボソームタンパク質合成から構成される、複雑な経路により生合成される。多くが静止期にいる造血幹細胞(HSC)は、低いミトコンドリア活性とタンパク質合成能を示すといわれているが、一方で、タンパク質合成能を直接規定するリボソーム生合成に加齢がどう影響するのかまだよくわかっていない。
本研究は、pre-rRNAプロセシングに関わるDDX41遺伝子の機能獲得型変異が、造血細胞の増殖・分化停止を誘導し、低形成白血病を発症させることを見出したことに端を発する。本研究では、HSCが多分化能・自己複製能を維持するために重要なpre-rRNAプロセシング因子を単離し、これらトランス因子の制御に関わる転写因子の同定とエピゲノム変化の解析を進める。また、rDNA領域のDNAメチル化やヒストン修飾の精密なデータも得て、加齢によるHSCのリボソーム生合成能の変化を多面的に捉えることをめざす。