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今井浩三附属病院長、「佐川特別賞」(公益財団法人・佐川がん研究振興財団)を受賞

今井浩三附属病院長、「佐川特別賞」(公益財団法人・佐川がん研究振興財団)を受賞

2013年11月30日
 

今井博士は、1985年に英国ケンブリッジ大学LMB研究所に留学し、Milstein博士(ノーベル賞受賞)に師事する機会を得られ、ここで二重特異性モノクローナル抗体を世界で最初に作製されました。これにより、T細胞(CD3)ならびにCEAに対する二重結合性を有する抗体の作製に成功されておられます。このアイディアは現在も継承されており、最近、今井博士が中心となり、インターフェロン投与により肝癌細胞に強発現する分子としてFGFRIを見出し、この分子に対する二重特異性抗体(diabody, 片方はCD3に対する特異的Fab)として完成し、国際特許出願を果たしておられます(Nature 2003, PLoS ONE 2011)。この研究は、「スーパー特区」である「複合がんワクチンの戦略的開発研究」としても採択されております。
さらに消化器癌に対する強い親和性を有する抗体MUSE11を作製し(Cancer Res 1989)、この抗原をcDNAクローニングし、抗原が各種癌に過剰発現するMUC-1であることを見出しておられます。この研究は細胞障害性T細胞(CTL)を、癌局所に送達する治療研究へと発展し、難治性癌である胆道癌への新規免疫治療法として、動物実験でPOCを獲得し、臨床試験を計画中です。本研究は文科省の「がん橋渡し研究(TR)」として採択されております。このように今井博士は、臨床に直結する抗体研究を行い、常に臨床を念頭に橋渡し研究を行ってこられました(Nature Rev Cancer 2006)。今後も文科省・橋渡し研究支援推進プログラム(研究代表)および平成24年度からの「橋渡し研究加速ネットワークプログラム」(研究責任者)を活用しながら、POCを獲得し、抗体を患者へと一刻も早く届けたいと考え、現在は、東京大学医科学研究所附属病院・抗体・ワクチンセンターで、多職種連携にて臨床試験の準備を進めておられます。以上の長年の実績が高く評価され、「免疫細胞・薬物送達のための革新的抗体薬の開発」のタイトルで佐川特別賞を11月30日付で受賞されました。