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渋谷哲朗准教授、マイクロソフトリサーチ日本情報学研究賞受賞

渋谷哲朗准教授、マイクロソフトリサーチ日本情報学研究賞受賞

2011年11月15日
 

渋谷哲朗氏は、バイオインフォマティクスの分野においてアルゴリズムとデータ構造に関し非常に優れた研究を行ってきた。特に、新たなパターンマッチングアルゴリズム、たんぱく質構造比較アルゴリズム、新たな接尾辞木データ構造などについて重要な貢献を行った。たんぱく質中のアミノ酸の3次元座標列として扱われるたんぱく質3次元構造は、構造上、大規模なデータベースでの検索が非常に困難であった。渋谷氏は長い文字列を前処理するために用いられていた接尾辞木のコンセプトを用いたんぱく質の3次元構造を記述する方法を提案した。氏のこのアイデアはたんぱく質の3次元構造を探索するアルゴリズムを飛躍的に向上させた。また氏が開発した新たなフィルタリングに基づく3次元構造検索手法は、検索指標の理論的な下限を高速に計算することでクエリ候補を削減し、データベース中のタンパク質立体構造が理想鎖分子であると仮定したとき、すなわちそれらの3次元構造座標列がランダムウォークの性質を満たすとき理論計算量をさらに減少させ、実際のPDBデータベース上で既存の手法を大きく上回る性能を実証している。これらのコンセプトは非常に強力であるため、たんぱく質構造の分野のみならず、アルゴリズム一般の分野においても新たな研究分野を創出し、国際的にも高く評価されている。
以上のとおり、渋谷氏の業績は、バイオインフォマティクスの研究において、理論と実用の面から重要な貢献をしており、その成果は国内・国外の研究者に広く用いられ認められているものである。また氏の研究はバイオインフォマティクス分野のみならず様々な産業的応用への発展が期待できる。これらの仕事は、MSR日本情報学研究賞を贈るにふさわしいものである。
マイクロソフトWebサイトより