今年の創立記念シンポジウムは、感染症、アレルギー、がんに関する新たな免疫学の研究動向がテーマです。山梨裕司所長の開会の挨拶の後、感染・免疫部門 ワクチン科学分野の石井健教授がワクチンに加える添加物であるアジュバントや今後のワクチン開発、免疫学研究に関するプレゼンテーションを行い、続いて京都大学再生医科学研究所再生免疫学分野の河本宏教授によるiPS細胞技術を用いたT細胞の再生についての講演が行われました。
また、感染・免疫部門 マラリア免疫学分野のチョバン・ジェヴァイア教授は、「宿主とマラリア原虫の組織レベルにおける相互作用について」と題した研究を発表し、大阪市立大学教授で東大医科研の国際粘膜ワクチン開発研究センター自然免疫制御分野の植松智特任教授は腸内細菌叢(dysbiosis)に関する自らのグループによる最新の研究結果を公表しました。
最後に、スイスのチューリッヒ大学 アレルギー喘息研究所(SIAF)のCezmi A. Akdis教授が、「アレルギー性および自己免疫性疾患の発症に関する上皮性関門の仮説」と題した講演を行いました。
※参考:シンポジウムPDF(リンク)
シンポジウムに先立ち開催された26日の研究成果発表会では、医科研で研究を行う大学院生や若手研究者らが自らの研究内容を英語で5分間プレゼンテーションをするセッション「フラッシュ・トーク」(Flash Talks Program)が開催されました。ウイルス、感染症、がん、老化、ゲノム編集などを専門とする33人のスピーカーが各々の研究を発表し、リスナーからの質問に答えました。
医科研の教員による投票により、優れたプレゼンテーションに贈られる令和2年度のBest Presentation賞が選ばれました。
※詳細は後日、報告いたします。
発表会終了後には、静岡県立大学准教授で医科研の英語講師でもあるフィリップ・ホーク(Philip HAWKE)先生をお招きし、科学英語のプレゼンテーションを改善するためのセミナー「Six Ways to Improve Your Scientific English Presentation: From Slide Design to Intonation」を開催しました。
100人以上の大学院生や教員が、英語で世界の人々に自らの研究内容を知ってもらうための6つのコツに耳を傾けました。
ホーク先生は「フラッシュ・トーク」(Flash Talks Program)の発表をすべて聴講され、発表者たちは後日、評価とフィードバックをいただく予定になっています。