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細胞処理部門

当院では、血液疾患のための1,990年前半骨髄移植のための細胞処理から始まり、1990年代後半には末梢血幹細胞移植用の造血幹細胞採取をはじめとした移植医療に関連した細胞処理が多くなった。最近は造血幹細胞移植のソースとして臍帯血が注目され、当院での移植は殆どが臍帯血移植となってきた。現在の当部門では末梢血幹細胞採取、免疫療法〈樹状療法のための単核球採取〉、再生医療のための細胞処理支援や造血幹細胞移植用の幹細胞測定(FACSやコロニー等)を実施している。アフェレーシスの対象は表1に示すごとくその目的によって採取方法は異なる。細胞採取に関しては事前に輸血部医師と採取方法、キットの購入に関して相談することが必要である。特に健常者のアフェレーシスに関しては『同種末梢血幹細胞移植のための健常人ドナーからの末梢血幹細胞の動員・採取に関するガイドライン』と照合して適応判定を行い、ドナーの安全性を最優先すること。これらは特に血縁者であるという有利さを利用しドナーに過剰な負担および危険をかけている可能性があるという反省から作成されている。ドナーの安全性に関しては、十分に議論された上で実施するよう望まれる。詳細は当院のセルプロセッシング・輸血マニュアルーB (東大医科研病院内診療端末から閲覧可能)に掲載されている。

細胞採取

細胞採取

アフェレーシス採取の種類と対象疾患

対象疾患 使用目的 および モード 1. 該当手順書 および 2. 備考
自己末梢血幹細胞採取  
  • 急性および慢性白血病、悪性リンパ腫などの血液悪性疾患
  • 悪性腫瘍
  • 自己末梢血幹細胞採取
  • WMC MNC modeまたはAutoPBSC mode
  1. 該当手順書:SOP B01, SOP B02,SOP B05, SOP B06, SOP B07
  2. 末梢血中のCD34陽性細胞数の測定も可能である。
同種末梢血幹細胞採取
  • 急性および慢性白血病、悪性リンパ腫などの血液悪性疾患
  • 同種末梢血幹細胞移植
  • WMC MNC modeまたはAutoPBSC mode
  1. 該当手順書:SOP B01, SOP B03, SOP B05, SOP B07
  2. 添付資料1の同種末梢血幹細胞移植マニュアルに記載されているドナーの選択基準を遵守すること。
自己単核球採取
  • 同種移植後再発予防
  • 臨床試験として承認された疾患(感染症や悪性疾患に対する免疫療法等
  • 前臨床試験として承認された健常人ドナー
  • 過剰白血球(CML, ALL, AML)
  • ドナーリンパ球輸注
  • 樹状細胞療法などの免疫療法
  • WBC MNC mode (AML/CMLの芽球除去にはMNCまたはPMN)
  1. 該当手順書:SOP B01, SOP B03, SOP B05, SOP B07
  2. 臨床試験の場合には必要な院内委員会を経ていることが条件である。
血小板採取
  • 血縁健常人ドナーからの採取
  • 血小板輸血
  • Plt mode
  • 現在は血液センターからの血小板輸血を優先している。院内採血は推奨されない(感染症、免疫反応等の問題から)。
顆粒球採取
  • 顆粒球減少症および重症感染症
  • 顆粒球輸血
  • WBC PMN mode
  • キットが異なるので早め予約
血漿交換
  • 重症黄疸その他免疫異常等
  • 血漿交換
  • 院内非常勤透析医に相談のこと

細胞処理

医療施設内で加工・製造される血液製剤(院内血液製剤:院内採血輸血用血液製剤、自己血液、洗浄血小板、造血幹細胞、等)は輸血医療にいまや不可欠である。しかしながら、GMP規制下で日本赤十字社等から供給される血液製剤と異なり、院内血液製剤は平成15年に施行された血液法で規定されているにもかかわらず、その安全性や品質の保証はいまだに担保されていない。我々は院内細胞処理に関して特にハード面を充実させることにより、より安全な製剤を提供できると考えている。輸血部内にクリーンルームを設け、定期的に粉じん量測定、菌検査を実施している。特に東京臍帯血バンク(東大医科研)から種々の工程を院内製剤、細胞処理に取り入れていけるように努力している。