東京大学医科学研究所はアジアの生命科学領域の研究者レベルでの交流ネットワークの構築において、これまで中心的な役割を果たしてきました。これまでの活動を通じて収集してきた情報と人的ネットワークを活用するのはもちろん、この活動を今後さらに発展させるため、「新世代ワクチン再生統合型医科学」と名付けた新しい研究分野の創成を目指した本プロジェクトを提案し、立ち上げました。
本プロジェクトでは、アジア各国の研究グループを医科学研究所の特色である領域横断的な最先端の研究に組み込むだけでなく、個々のグループのニーズや特徴を生かした共同研究体制の構築が可能となります。特に、経口ワクチン開発とその基礎研究を中心に、具体的且つ相互に関連した複数のプロジェクトにおいて連携を進めていきます。
近年、アジア諸国間の連携の必要姓が強く言われるようになりました。個々の研究室レベルでの共同研究やアジア諸国からの研究者の受け入れによる技術移転において一定の進展はみられるものの、日本をハブとするアジア圏全体の戦略的向上に繋がるような新しい研究開発コミュニティネットワーク構築への取り組みは依然として少ないのが現実です。アジア地域における最新研究成果の有効な交換を実現する効率の良い共同研究を展開し、それらを世界へ向けて発信していくためには、世界に開かれたアジア研究ネットワークの構築が極めて重要な課題となります。
この目的を達成するため、我々はAsia-Pacific International Molecular Biology Network (A-IMBN)
及びNature Publishing Group (NPG)と連携してこのプロジェクトを進めて行きます。A-IMBNは、アジア太平洋地域の研究者間のネットワークや相互交流を通じて分子生物学及びバイオテクノロジー分野の研究を推進し、人類の利益に繋げることを目的に、1997年に設立された組織です。また、情報発信・交換媒体の中核として世界的なネットワークを誇るNPGとは日本を中心とするアジア圏全体の戦略的向上に繋がる新しいコミュニティネットワーク構築への取り組みの一環としてウェブサイト「A-IMBN Research」を共同運営し、アジア各国におけるライフサイエンスの優れた成果をリアルタイムに世界に発信していきます。
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