研究内容

Toll-like receptorによる病原体認識

TLRは、細胞表面に発現し、細菌由来であるLPS (Lipopolysaccharide, エンドトキシン)、リポペプチド、ペプチドグリカンなど認識するTLR1、TLR2、TLR4/MD-2、TLR5、TLR6と細胞内に発現し核酸を認識するTLR3、TLR7、TLR8、TLR9に分けられます。病原体成分によるTLRの活性化は、NF-kB、MAPキナーゼの活性化を誘導し、炎症性サイトカインやI型インターフェロンの産生を誘導します。我々は、LPS認識分子MD-2をクローニングし、MD-2ノックアウトマウスを作製することで、LPS応答に必須であることを示してきました。さらに東京大学大学院薬学系研究科 佐藤能雅教授と共同研究で、MD-2の構造決定に成功しております。その結果明らかになったことは、MD-2がLPSと結合する主要分子であるということです。さらに、我々のこれまでの結果や韓国Jie-Oh Lee博士らの報告と合わせると、シグナルを伝達するTLR4のdimerizationがMD-2によって制御されていることがわかってきました。すなわち、MD-2はLPSを認識する主要な分子です。TLR4/MD-2のほか、TLR1/TLR2やTLR3とそれぞれのリガンドとの複合体の構造もすでに明らかにされており、TLRの病原体認識機構が、構造学的に明らかにされようとしています。

Toll-like receptor(TLR)が病原体の侵入を察知する

エンドトキシン認識分子

ヒトMD-ZとLipid A拮抗剤Lipid IVaとの複合体の構造 脂肪酸側鎖がポケットに入っている

Toll-like receptorと疾患―感染症と非感染性炎症性疾患