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東京大学医科学研究所 ヒト疾患モデル研究センター
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ヒト疾患モデル研究センターは、旧獣医学研究部、旧癌生物学研究部を改組転換し、1研究分野を加えた3研究分野をもって、平成10年4月、医科学研究所の10年の時限付き付属研究室として発足した。
研究センターの目的は、現代の医科学研究に欠かせないヒト疾患のモデルを開発し、解析することである。また、遺伝子操作を始めとする新たな胚操作法を開発し、実施することによって、医科学研究所における動物実験システムを、ゲノム医科学からゲノム医療の開発につなげる科学的実証的なシステムにすることを目的とする。
ヒトの病気の研究は、古くから様々に行なわれてきた。目的は、個体に起こる苦痛の原因の解明と、その除去法の探求とである。苦痛は、通常、個体の部分の異常から生じるが、治療は
、常に個体を対象として行なわれる。また、部分に原因があっても、その影響は、個体全体に及ぶことが常であることから、研究の対象は、ヒトの個体である。しかし、ヒトは実験の対象にはならない。そこで、科学的実証的な医科学研究は、実験動物を通して行なわれてきたのである(実験医学)。これまで用いられた動物は、疾患の「症状モデル」がほとんどであり、ヒト疾患と同一の原因をもつものは、きわめて稀であったといえる。
この長い研究の歴史上に、近年、画期的な進歩がもたらされた。遺伝子工学の進歩によって、ヒトの多くの疾患が、何らかの遺伝子の機能異常に原因があることが明らかにされ、ヒト疾患の研究に、遺伝子機能の研究が不可欠になった。即ち、ヒト疾患モデルとして、個体の遺伝子操作によって作られる実験動物が、動物実験の中心的役割を担うことになったのである。
現在の処、マウス個体の特定の遺伝子を欠失させたり、過剰発現させたり、特定の時期にだけ発現をONやOFFにさせたりすることなどができる技術が確立されている。さらに、体細胞の核移植が、様々な動物種で可能であることから、体細胞の遺伝子操作を経た核を、個体のすることは、それ程難しい技術ではなくなってきた。即ち、実験動物は、遺伝子操作を経て、ヒトと原因を同じくする疾患のモデル(ヒト疾患モデル)となりうるのである。
ヒト疾患モデル研究センターでは、個体を対象とする医科学研究の実証的研究の最も重要な実験動物システムの創造を、実験動物の開発を通して行なおうとするものである。
センターの運営は、密接に関係する実験動物研究施設と一体になって行われ、実験動物の指導、動物センターの運営と実験動物の管理とを分担する。また、センターではトランスジェニックマウスやノックアウトマウスなどの遺伝子操作マウスの作製や胚凍結などの研究支援を行っている。
教授 |
中内 啓光 |
高次機能研究分野ホームページ |
総合研究棟2階北側 |
助教授 |
依馬 秀夫 |
助教授 |
服部 浩一 |
助手 |
江藤 浩之 |
助手 |
紙谷 聡英 |
ヒト疾患モデル研究センター連携施設
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