2005年12月
赴任のご挨拶

神経ネットワーク分野
助教授 関野祐子
助教授 関野祐子
平成17年3月1日付けで、群馬大学大学院医学系研究科・高次細胞機能学教室・助教授から、神経ネットワーク分野に異動して参りました。皆様どうぞよろしくお願い致します。私は、記憶のメカニズムをラット海馬スライス、ラット培養海馬神経細胞などを使い、シナプス可塑性及び、海馬神経回路制御の観点から研究しております。シナプス可塑性に関しては、グルタミン酸受容体からのシグナルカスケードから攻めるのではなく、シナプス後部構造である樹状突起スパインという特殊な形態を形作るためのアクチン結合蛋白のシナプス活動依存的な動態に着目して研究を進めています。また、海馬神経回路制御については、海馬スライス標本内の膜電位変動の伝播のようすを、膜電位感受性色素の蛍光量の変化により光学的に可視化する手法により解析しています。膜電位変動の伝播を可視化することにより、従来の電気生理学的手法では調べられてこなかった海馬内の小さな領域(CA2領域:図参照)が、海馬体内の神経活動の伝播に重要であることが示唆されました。現在、視床下部からの情動性入力が海馬の神経活動を制御するとの仮説を提唱し、その証明に力を注いでいます。海馬での記憶情報取り込みに、感情がどのように働きかけているかを解明したいと思っています。
海馬スライスの光学測定の画像データーと海馬内伝播の模式図
