2005年12月
研究拠点形成 ゲノム医療プロジェクト推進

特任教授
古川 洋一
古川 洋一
研究内容
本研究プロジェクトは、ゲノムの情報を医療へ応用することを目的として開始されたCOEプログラムの一つである。ヒトのがんの発生・進展には、がん抑制遺伝子やがん遺伝子の遺伝子変異のみならず、数多くの遺伝子の発現異常が関与している。我々はがん治療への臨床応用を目指して、cDNAマイクロアレイを用いたゲノムワイドな遺伝子発現プロファイルのデータを基に、次の2つのプロジェクトを展開している。
- 慢性骨髄性白血病に対する抗がん剤グリベックの効果や、非小細胞肺がんに対する抗がん剤イレッサの効果のデータと、それぞれの腫瘍細胞の遺伝子発現プロファイルの検討から、これらの病気の患者さんの、それぞれの抗がん剤に対する感受性を予測し、結果を患者さんに報告し、治療法の決定に利用するプロジェクトを、医科研付属病院と共同で開始した。
- 大腸がんや肝がんで高発現する遺伝子SMYD3を同定した。SMYD3がコードするタンパクは新規のヒストンメチルトランスフェラーゼであり、RNA helicaseとRNA polymerase IIとの複合体形成を介して転写を活性化し、腫瘍の増殖を促進することが明らかとなった。この分子をターゲットとした治療法開発のため、さらなるSMYD3タンパクの機能の解析と、転写活性化による増殖が促進するメカニズムの解明を行っている(下図参照)。
