組織球系腫瘍は、単球・マクロファージ・樹状細胞などの造血由来細胞が異常増殖する希少疾患群であり、代表的な疾患としてランゲルハンス細胞組織球症(LCH)、エルドハイム・チェスター病、ロサイ・ドルフマン病、組織球肉腫などが挙げられます。近年、これらの疾患はBRAF V600E変異やMAP2K1変異をはじめとするMAPキナーゼ(MAPK)経路の活性化に起因する腫瘍性疾患として再定義され、分子標的薬の開発と病態研究が急速に進展しています。当研究活動では、希少疾患である組織球系腫瘍の病態を分子レベルから臨床まで一貫して理解し、治療最適化につなげることを目指しています。
病態解析
網羅的遺伝子変異解析による組織球系腫瘍の起源細胞や、しばしば認められる合併腫瘍との共通クローンを解析し、組織球系腫瘍に高頻度でみられる併存腫瘍の発生機序を造血クローンの観点から解明しています。病理・画像・遺伝子・臨床情報を統合し、疾患横断的な病態理解を進めています。
診療体制の整備
厚労科研難治性疾患政策研究事業「特発性造血障害に関する調査研究班」の支援のもと、成人LCHの全国疫学調査を実施し報告、2025年度成人LCH診療の参照ガイド初版を発行しました(特発性造血障害に関する調査研究班)。
2025年より日本医療研究開発機構の支援のもと、全年齢層・全組織球系腫瘍を対象としたレジストリ・バイオレポジトリを構築し、病理中央診断や遺伝子パネル検査を実施、小児科や病理科と連携した病理症例検討会を実施しています。レジストリ・バイオレポジトリの研究概要は組織球症ねっとに公開しています。
さらに、分子標的薬の適応拡大に伴う前向き観察研究や、希少疾患領域の課題であるドラッグラグ解消に向けた創薬開発活動も推進しています。
海外との共同研究
米国Mayo Clinicとの臨床共同研究や、国際組織球症学会(Histiocyte Society)における学術活動・国際連携を推進しています。
疾患啓発活動
LCH患者会役員、当院看護部と共同し、患者シンポジウムの開催や患者市民参画(PPI)活動にも取り組んでいます。患者・家族や医療者向けへの教育活動を通じ、希少疾患の社会的認知向上に取り組んでいます。