リスザルは、中南米の熱帯雨林に生息しているオマキザル科の小型霊長類です。いくつかの種(亜種)に分類されていますが、当施設にいるのはボリビア産のリスザル(Saimiri boriviensis)です。奄美大島の亜熱帯海洋性気候が功を奏したようで、当施設では1981年に実験用霊長類として人工繁殖を開始して以来、恒常的な繁殖に成功しています。南半球の野生環境下では6~9月頃に交尾期があり、12~2月頃に出産期を迎えますが、北半球の当施設では交尾期と繁殖期がほぼ逆転しています。体重は、雄の成獣で900~1200gほど、雌の成獣では500~800gほどです。好奇心旺盛で温厚な性格をしており、雄性成獣でも扱い易いです。リスザルは、現在でも多数の死者を出す熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)に感受性があり、極めて貴重なin vivo重症化モデルになることが知られています。

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霊長類用飼育室1(ABSL2)

霊長類用飼育・実験室(ABSL3)

培養室(BSL2)

設備の紹介(実験室、飼育室)

利用申請書DL


 ヨザル(Aotus属)も南米原産のオマキザル科の小型霊長類です。メガネザルなど原猿類を除き、我々ヒトを含む真猿類のなかでは唯一の夜行性の霊長類です。夜行性にもかかわらずヨザルの眼には輝板がなく、昼行性から夜行性に移行したと推察されています。日中は樹洞などに隠れて眠っていますが、夜になると活動的になり、暗闇の中でも飛翔する虫を捕えます。体重や体の大きさは、リスザルよりもわずかに大きいくらい。周年繁殖で、家族単位の群れを形成することが知られています。授乳時以外は父親が子を背負って育てるなど、面白い特徴もあります。ヨザルは三日熱マラリア原虫(P. vivax)に感受性があり、ヒトマラリアの動物モデルとしても極めて有用です。
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ヨザルの家族

リスザル(哺育中の幼獣)

リスザル(成獣)

新世界ザル

 奄美病害動物研究施設は、霊長類でBSL3までの病原体を用いた感染実験が可能な共同利用・共同研究拠点です。平成15年にカニクイザルやアカゲザルも搬入が可能な霊長類用の飼育実験室(ABSL2)や培養室(BSL2)を備えた動物実験棟が完成しました。また、平成17年度からは国際感染症研究センターの霊長類実験拠点としてさらに整備が進み、平成18年には霊長類用の封じ込め実験飼育室(ABSL3)および培養室(BSL3)も完成しました。これまでに、高病原性鳥インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、ウマヘルペスウイルス、抗酸菌類、クリプトスポリジウム、熱帯熱マラリア、三日熱マラリアなど、様々な病原体を用いた感染実験を実施してきています。霊長類での共同研究のご希望等が御座いましたら、当施設までお問合せ下さい。

 また当施設には、動物実験棟とは別棟に新世界ザル実験飼育室(ABSL1)がある他、毒蛇ハブなど特定動物の飼育室や、SPFマウス室、霊長類に関わらず使用できる来客者用の実験室(BSL2)や培養室(BSL2)も完備しています。野生動物や海洋生物、植物なども含め、霊長類以外を対象とする研究者の方々にも数多く利用して戴いておりますので、奄美大島ならではアイデアをお持ちの先生がおられましたら、まずはお気軽にお問合せを下さい。