ご挨拶

谷 憲三朗教授よりのご挨拶

2015年4月より九州大学生体防御医学研究所ゲノム病態学分野、九州大学病院先端分子・細胞治療科から東京大学医科学研究所ALA先端医療学社会連携研究部門(同附属病院先端診療部併任)に移動致しました谷 憲三朗と申します。2002年までは東京大学医科学研究所分子療法研究分野、同附属病院血液腫瘍内科において研究と臨床を行っておりましたため、久しぶりに四季が美しく変化する医科研庭園に癒される日々を過ごさせていただいております。

さて、悪性腫瘍を含む難治性疾患に対する治療法の開発は医療が今後解決していくべき大きなテーマです。私たちはこれまでに標準療法に抵抗性な再発・転移性の悪性腫瘍に対する新規の免疫・細胞療法の臨床研究および臨床試験を行って参りました。また現在、これらの悪性腫瘍患者さんに対する新規薬剤としてのウイルス療法の可能性について前臨床試験として検討を行わせていただいております。さらに、血液・免疫難病により生活の質が著しく低下されている難病患者さんより末梢血をご提供頂き、人工多能性幹(iPS)細胞を作り出し、これらの難病に対する新しい薬剤の開発研究も行ってきています。

このたび本社会連携講座設立の支援を頂いておりますSBIファーマ社ならびにコスモALA社が臨床開発中の5⁻アミノレブリン酸;ALAという大変興味深いアミノ酸を研究させていただく機会を得ました。本物質の持つミトコンドリア機能活性化作用に関しましては、多くの疾患に対する新たな治療法や診断法として応用可能であると期待され、その臨床研究を進めると共に、私たちがこれまでに積み重ねてきました研究手技を用いて新たな臨床開発が可能ではないかと考え、日夜研究を進めております。

医科学研究所は北里柴三郎先生を初代所長と仰ぎ、125年の歴史を持つ研究所・病院であり、その時代時代における難病と闘ってきた歴史を持っています。私たちも先輩の先生方が積み重ねてこられた輝かしい歴史を仰ぎ見ながら、新たな医療の開発に挑戦していきたいと思っております。皆様のご指導、ご支援をよろしくお願い致します。

東京大学医科学研究所 ALA先端医療学社会連携研究部門 特任教授 谷憲三朗