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コアラボ紹介

2005年12月
バイオスタティスティクス人材養成ユニット
特任教授 堀本 勝久

研究内容

研究室は、平成14年度科学技術振興調整費により5年の時限で設立されたゲノム情報科学研究教育機構に所属する研究室である。現在、科学技術振興特任教員(特任教授、特任助手各1名)と2名の科学技術振興特任研究員、及び受託研究員3名で構成されている。
本研究室は、「統計学は本質的に応用の学問である」という考えの下、分子生物学における問題解明のための統計手法の開発とその適用、及びそれが可能な研究者の養成を目的としている。従来の生物統計では、生命科学の実験研究における補助的データ処理などの支援的研究や、数学・情報学に関する新規性を重視し実際的な問題解明に関する有用性を重視しない研究が散見される。新しいバイオスタティスティクスは、これら従属的な研究姿勢を払拭し、生命科学の問題意識のレベルから主導的な立場で統計的アプローチに基づいた研究を行うことを目的とする。現在の主な研究テーマは、以下の通りである。
  1. 遺伝子発現プロファイル解析
    グラフィカル・ガウシアン・モデリングに基づいた遺伝子制御関係推定法を開発し、その適用により網羅的な遺伝子制御ネットワークモデルを構築している。また、実験研究者の利便性を考慮しweb上に方法を公開している(図1:Nucleic Acids Res., in press, 2005)。また、その実用性が認められパソコンに実装可能なソフトウェアが商品化され、2005年より日本のみならず米国の2社から欧米で発売された。さらに、推定法をグラフィカル連鎖モデリングに基づいて拡張し、遺伝子群が順序だった発現をすると想定される、癌の発生機序や多細胞生物の発生・分化のモデル構築を実験研究者と共同で研究している。
  2. ゲノム構造比較
    従来の配列類似性に基づく、いわゆるボトムアップのゲノム比較法とことなり、Directional Statisticsを利用した遺伝子配置の相異に基づくトップダウンの比較法を開発し、ゲノム構造変化の進化的・機能的な研究している。また、配列レベルの比較に関しても、ゲノム構造変化の一つの要因と考えられている反復配列を探索する方法を、時系列解析法を利用して開発し、ゲノム構造変化と反復配列の関連性を詳細に調べている。
その他、ベイズ確率に基づいた、Alternative Splicingが観察される遺伝子に関する特徴配列の探索法の開発、限定記号消去法を利用した数理モデルの最適化法の開発なども行っている。