東京大学医科学研究所

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発表論文解説

単純ヘルペスウイルスの新しい免疫回避機構を発見~ウイルス病態が何度も再発する仕組みの一端を解明~

Cell Host & Microbe DOI番号:10.1016/j.chom.2017.12.014
丸鶴雄平1, 2, 3、一戸猛志2、 佐藤亮太4、三宅健介4、 岡野徳壽5、 鈴木敏彦5、 小柴琢己6、 小柳直人1, 2、津田峻平1, 2、渡辺瑞季1, 2、有井潤 1, 2、加藤哲久1, 2、川口寧1, 2
1東京大学医科学研究所・感染免疫部門・ウイルス病態制御分野、2東京大学医科学研究所・感染症国際研究センター・感染制御系、3日本学術振興会、4東京大学医科学研究所・感染免疫部門・感染遺伝学分野、5東京医科歯科大学・医歯学総合研究科・細菌感染制御学分野、6九州大学大学院・理学研究院・生物科学部門・統合生物学講座
Herpes Simplex Virus 1 VP22 Inhibits AIM2-dependent Inflammasome Activation to Enable Efficient Viral Replication

再発を繰り返すことが大きな特徴である単純ヘルペスウイルス(HSV)が、ヒトの体内で何度も増殖し病態を引き起こすためには、ヒトの生体防御反応である多様な免疫応答から逃れる必要があります。よって、HSVはさまざまな手段を用いて免疫応答を回避していることが考えられており、これらHSVの免疫回避機構を解明することはHSVの病態の理解や制御法の開発において非常に重要な知見となります。
東京大学医科学研究所の川口寧教授、丸鶴雄平研究員らの研究グループは、生体内でのウイルス増殖に重要なHSVの新しい免疫回避機構を発見し、それを司るウイルスタンパク質としてVP22を同定しました。VP22はAIM2と結合し、その多量体化を抑制することによって、AIM2インフラマソームの活性化を阻害することが明らかになりました。本研究成果によって、HSVが宿主の免疫応答から逃れる新しい分子メカニズムが解明され、ウイルス病態が何度も再発する仕組みの一端が明らかになりました。また、本研究成果は、解明された分子メカニズムを標的としたHSV感染症の新しい治療法の開発につながることが期待されます。
本研究成果は、2018年2月15日午前2時(米国東部時間 2月14日午前12時)、米国科学雑誌「Cell Host & Microbe」のオンライン版で公開されます。なお、本研究成果は、文部科学省新学術領域研究、日本学術振興会(JSPS)科学研究費補助金事業、文部科学省共同利用・共同拠点事業、JSPS特別研究員事業などの一環として得られました。