東京大学医科学研究所

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発表論文解説

腸炎における腸間膜脂肪の関与を解明 ― 腸間膜脂肪がクローン病治療の標的となる可能性を提示 ―

EBioMedicine (9月号オンライン掲載) DOI番号:10.1016/j.ebiom.2017.07.027
Yu Takahashi*1, 2, Shintaro Sato*1, 3, Yosuke Kurashima1, 3, Chen-Yi Lai4, Makoto Otsu4, Mikio Hayashi2, Takayuki Yamaguchi2 & Hiroshi Kiyono*1, 3
1Division of Mucosal Immunology, Department of Microbiology and Immunology, Institute of Medical Science, University of Tokyo, Tokyo 108-8639, Japan 2Japan Tobacco Inc., Central Pharmaceutical Research Institute, 1-1 Murasaki-cho, Takatsuki, Osaka 569-1125, Japan 3International Research and Development Center for Mucosal Vaccines, Institute of Medical Science, University of Tokyo, Tokyo 108-8639, Japan 4Division of Stem Cell Processing, Center for Stem Cell Biology and Regenerative Medicine, Institute of Medical Science, University of Tokyo, Tokyo 108-8639, Japan
Reciprocal Inflammatory Signaling Between Intestinal Epithelial Cells and Adipocytes in the Absence of Immune Cells

多くのクローン病患者において腸間膜脂肪の蓄積が見られることから,腸間膜脂肪は慢性腸炎に関与することが示唆されていましたが,具体的な検証はこれまでにほとんど行われていませんでした。日本たばこ産業株式会社の高橋裕研究員,東京大学医科学研究所の佐藤慎太郎客員准教授,清野宏教授らの共同研究グループは,3次元培養オルガノイドより構築した単層の腸管上皮細胞を成熟脂肪細胞と共培養すると,双方の細胞群に炎症反応が惹起されることを明らかにしました。さらに,この応答はNF-κBやSTAT3の阻害剤で抑制されたことから,少なくともこれらの2つの経路を介して生じていることも判明しました。本研究成果により,腸間膜に存在する脂肪細胞が腸管上皮細胞における炎症反応の誘導に直接関与すること,さらに脂肪細胞の性質を改善するアプローチが新たなクローン病治療法に結びつく可能性が提示されました。
本研究成果は,Cell誌とLancet誌が共同運営するオープンアクセス科学誌「EBioMedicine」の2017年9月号に掲載されました。

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