東京大学医科学研究所

  1. ホーム
  2. 最新研究成果■発表論文解説

発表論文解説

ヘルペス脳炎の発症機構を解明 —ヘルペス脳炎の新規治療法の開発に期待—

Journal of Clinical Investigation(9月11日オンライン掲載予定)DOI番号:10.1172/JCI92931
小栁直人1,2、今井孝彦1,2、神道慶子1,2、佐藤あゆ子3、藤井渉4、一戸猛志2、武村直紀5,6、角田茂7、植松智5,6、清野宏3,5,8、丸鶴雄平1,2、有井潤1,2、加藤哲久1,2、川口 寧1,2
1. 東京大学医科学研究所・感染・免疫部門・ウイルス病態制御分野、2. 東京大学医科学研究所・感染症国際研究センター・感染制御系、3. 東京大学医科学研究所・感染・免疫部門・炎症免疫学分野、4. 東京大学農学部・応用遺伝学、5. 東京大学医科学研究所・国際粘膜ワクチン開発研究センター・自然免疫制御分野、6. 千葉大学医学部・粘膜免疫学、7.東京大学農学部・実験動物学、8.CREST・JST
Herpes simplex virus-1 evasion of CD8+ T cell accumulation contributes to viral encephalitis

単純ヘルペスウイルス(HSV)感染で引き起こされるヘルペス脳炎は、病態が進行してしまうと、既存の抗ヘルペス剤でウイルス増殖を阻害しても脳炎の進行を阻止することができません。よって、新たな治療法の創出が求められていました。東京大学医科学研究所の川口寧教授、小栁特任研究員らの研究グループは、ヘルペス脳炎の発症に関わるHSVタンパク質として、ウイルスキナーゼUL13を同定しました。また、UL13が、細胞障害性T細胞(CTL) を誘引するケモカインCXCL9の発現を抑制し、脳感染部位へのCTL浸潤を低下させることによって、効率的な脳炎発症に寄与ことを発見しました。さらに、UL13の活性を阻害、または、感染マウスにCXCL9を投与することで脳感染部位へのCTL浸潤を亢進させることによって、脳炎を顕著に抑制できることを実証しました。本研究成果は、UL13およびCTL応答を標的としたヘルペス脳炎に対する新しい治療法につながることが期待されます。
本研究成果は、日本学術振興会(JSPS) 最先端・次世代研究開発支援プログラム、文部科学省 新学術領域研究、文部科学省 科学研究費補助金事業などの一環として得られました。