東京大学医科学研究所

  1. ホーム
  2. 最新研究成果■発表論文解説

発表論文解説

炎症細胞によるがん転移性ニッチ形成メカニズムを解明

PNAS (Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 5 月15 日オンライン版) doi: 10.1073/pnas.1703171114
Toshiro Hara, Hiroki J. Nakaoka, Tetsuro Hayashi, Kouhei Mimura, Daisuke Hoshino, Masahiro Inoue, Fumitaka Nagamura, Yoshinori Murakami, Motoharu Seiki, and Takeharu Sakamoto*
Control of metastatic niche formation by targeting APBA3/Mint3 in inflammatory monocytes

東京大学医科学研究所 癌・細胞増殖部門 人癌病因遺伝子分野の坂本毅治助教らの研究グループは、炎症細胞によるがん転移の促進に関わる重要な分子として、Mint3を発見しました。
局所で増殖するがんには外科手術や放射線治療などが有効ですが、がんが全身に転移すると有効な治療法があまりないため、がんの転移を抑える薬剤の開発が待望されています。がん細胞が遠隔臓器に転移するには、原発巣のがん細胞が血管内に入り、転移先臓器で血管外へ遊走する必要があります。がん細胞の血管外遊走にはがん細胞だけでなく炎症細胞などの助けが必要なことが分かっていましたが、その詳細なメカニズムは不明でした。本研究では、Mint3という分子が、炎症細胞の一種である炎症性モノサイトの機能を制御することで、がん細胞が転移先臓器で血管外遊走しやすくなる転移性ニッチを形成していることを明らかにしました。本研究の成果によって、炎症細胞のMint3を標的としたが ん転移阻害薬の開発が期待されます。
本研究成果は2017 年5 月15 日(米国東部時間 午後3 時)、米国科学雑誌「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America」のオンライン速報版で公開されます。
本研究成果は、日本医療研究開発機構(AMED)次世代がん研究シーズ戦略的育成プログラム(P-DIRECT)(平成23年度~平成27年度)、次世代がん医療創生研究事業(P-CREATE)(平成28年度以降)、文部科学省科学研究費補助金新学術領域研究などの一環として得られました。