東京大学医科学研究所

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発表論文解説

複数のさい帯血ユニットを利用する新規移植法の開発へ

Journal of Experimental Medicine DOI番号:10.1084/jem.20151493
Takashi Ishida, Satoshi Takahashi, Chen-Yi Lai, Masanori Nojima, Ryo Yamamoto, Emiko Takeuchi, Yasuo Takeuchi, Masaaki Higashihara, Hiromitsu Nakauchi, and Makoto Otsu
Multiple allogeneic progenitors in combination function as a unit to support early transient hematopoiesis in transplantation

東京大学医科学研究所の石田 隆客員研究員(当時:北里大学大学院医療系研究科・博士課程在籍、現:同大学医学部血液内科学助教)、高橋 聡准教授、大津 真准教授らは、同所の中内 啓光教授、北里大学の東原 正明教授らと共同で、複数のさい帯血ユニットを利用した新規移植法の開発へと結びつく、画期的な成果を報告した。
白血病等の治療に用いられるさい帯血移植においては、ひとつのユニットに含まれる細胞数が不足し生着が遅れることが臨床上の問題となっている。ふたつのユニットの移植では細胞数の不足を補うには十分ではなく、また先行する臨床研究において3つ以上の混合ではむしろ副反応が前面に出ることが示されている。
本共同研究チームは、個々のユニットに含まれる免疫細胞を排除し、血液の幹細胞を多く含む細胞集団(造血幹/前駆細胞)にすることで、複数混合して移植した後も干渉しあうことなく協調して血液細胞を産生し、レシピエントの早期回復を助けることを実験的に証明した。さらに臨床応用に向けて、ヒト凍結さい帯血最大9ユニットの混合物から造血幹/前駆細胞を効率よく回収する技術もあわせて確立した。 これらはより安全な移植医療の確立に寄与する成果と期待される。本研究成果は2016年8月8日(米国東部時間)、Journal of Experimental Medicineオンライン版で公開される。本研究は、橋渡し研究加速ネットワークプログラム(文部科学省、現在は日本医療研究開発機構へ移管)の一環として行われた。