東京大学医科学研究所

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発表論文解説

病原細菌を標的としたオートファジーにおける新規認識機構の発見

Cell Host Microbe. 2011 May 19;9(5):376-89.
小川道永1, 吉川悠子1, 小林泰良1, 三室仁美1, 福松真1, 氣駕恒太郎1, Zhenzi Piao1, 芦田浩1, 吉田光孝2, 角田茂3, 小山智洋4, 後藤義幸5, 長竹貴広5, 長井伸也4, 清野宏5, Magdalena Kawalec6, Jean-Marc Reichhart6, 笹川千尋1, 7
1東京大学医科学研究所細菌感染分野, 5東京大学医科学研究所炎症免疫分野, 3東京大学医科学研究所システム疾患モデル研究センター分子病態研究分野, 2順天堂大学超微形態研究室, 4日生研株式会社, 6フランス ストラスブール大学, 7東京大学医科学研究所感染症国際センター感染制御部門
A Tecpr1-dependent selective autophagy pathway targets bacterial pathogens. Michinaga Ogawa, Yuko Yoshikawa, Taira Kobayashi, Hitomi Mimuro, Makoto Fukumatsu, Kotaro Kiga, Zhenzi Piao, Hiroshi Ashida, Mitsutaka Yoshida, Shigeru Kakuta, Tomohiro Koyama, Yoshiyuki Goto, Takahiro Nagatake, Shinya Nagai, Hiroshi Kiyono, Magdalena Kawalec, Jean-Marc Reichhart and Chihiro Sasakawa

オートファジーは細胞内のダメージを受けた器官、変性タンパク質、病原体を異物として認識・分解する機構である。東京大学医科学研究所 小川道永助教(細菌感染分野)と笹川千尋教授(細菌感染分野、感染症国際研究センター)は宿主細胞が細胞内に侵入した赤痢菌を特異的に認識しオートファジーによって分解するために必要な新規タンパク質Tecpr1 (Tectonin domain-containing protein) を発見した。さらに、Tecpr1は赤痢菌だけではなく、サルモネラ菌、A群連鎖球菌等の病原細菌(図1参照)、変性タンパク質やダメージを受けたミトコンドリアに対する広く一般的な選択的なオートファジーにも関与することを見出した(図2参照)。本研究の成果は病原細菌を標的とするオートファジーの選択的な認識機構の解明のみならず、変性タンパク質の蓄積によるハンチントン病(注1)等の神経変性疾患や異常ミトコンドリア蓄積による若年性パーキンソン病(注2)の発症機序の解明や治療薬の開発にも重要な手がかりを与えるものと考えられる。

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