東京大学医科学研究所

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発表論文解説

「コールドチェーン」および「注射器」を必要としないコメ型ワクチン開発

PNAS 104:10986-10991, 2007
野地智法1,2)、高木英典3)、幸義和1,2)、Lijun Yang3)、増村威宏4)、目島未央1,2)、中西潮1)、松村亜紀子1,2)、魚住明央1)、廣井隆親5)、森田重人4)、田中國介4)、高岩文雄3)、清野宏1,2)
1: 東京大学医科学研究所・感染免疫部門・炎症免疫学分野
2: CREST・科学技術振興機構
3: 農業生物資源研究所・遺伝子組み換え作物開発センター
4: 京都府立大学大学院・農学研究科・遺伝子工学研究室
5: 東京都立臨床医学総合研究所・花粉症プロジェクト
Rice-based mucosal vaccine as a global strategy for cold-chain- and needle-free vaccination. Tomonori Nochi, Hidenori Takagi, Yoshikazu Yuki, Lijun Yang, Takehiro Masumura, Mio Mejima, Ushio Nakanishi, Akiko Matsumura, Akihiro Uozumi, Takachika Hiroi, Shigeto Morita, Kunisuke Tanaka, Fumio Takaiwa, and Hiroshi Kiyono PNAS 104:10986-10991, 2007

注射を必要としない粘膜ワクチンは、抗原特異的免疫応答を全身系のみならず粘膜系に誘導可能であることから、特に粘膜を介して侵入する病原微生物が原因となる感染症の予防法として最適である。我々は、コレラ毒素の受容体結合無毒領域であるBサブユニット(CTB)を発現するコメ型コレラワクチンを開発した。このコメ型コレラワクチンは、種子1粒あたり、約30µgのCTBの発現が認められ、その殆どがProtein body (PB)と呼ばれるタンパク貯蔵体に蓄積していた。また経口投与したコメ型コレラワクチンは、抗原取り込み細胞であるM細胞を介して、効果的な抗原特異的中和免疫応答を粘膜系と全身系両方に誘導した。 07101701.pngさらには、コメ型ワクチンはin vitroでのペプシン処理に対する影響を殆ど受けず、また免疫源性を保持したまま常温下で1.5年以上安定であった。以上の結果は、安定性・長期保存性に優れたこのコメ型ワクチンが、グローバルな感染症対策や昨今問題となっているバイオテロ対策に有用であることを示した。