東京大学医科学研究所

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発表論文解説

メタゲノム・メタボローム解析により大腸がん発症関連細菌を特定 ~便から大腸がんを早期に診断する新技術~

Nature Medicine 2019年6月7日(金)0時(日本時間)
Shinichi Yachida†*1,2, Sayaka Mizutani†3, Hirotsugu Shiroma3, Satoshi Shiba1, Takeshi Nakajima4, Taku Sakamoto4, Hikaru Watanabe3, Keigo Masuda3, Yuichiro Nishimoto3, Masaru Kubo3, Fumie Hosoda1, Hirofumi Rokutan1, Minori Matsumoto4, Hiroyuki Takamaru4, Masayoshi Yamada4, Takahisa Matsuda4, Motoki Iwasaki5, Taiki Yamaji5, Tatsuo Yachida6, Tomoyoshi Soga7, Ken Kurokawa8, Atsushi Toyoda9, Yoshitoshi Ogura10, Tetsuya Hayashi10, Masanori Hatakeyama11, Hitoshi Nakagama12, Yutaka Saito4, Shinji Fukuda7, 13-15, Tatsuhiro Shibata1,16, Takuji Yamada3,15*(†同等貢献、*責任著者)
1. 大阪大学 大学院医学系研究科 がんゲノム情報学 2. 国立がん研究センター 研究所 がんゲノミクス研究分野 3. 東京工業大学 生命理工学院 生命理工学系 4. 国立がん研究センター 中央病院 内視鏡科 5. 国立がん研究センター 社会と健康研究センター 疫学研究部 6. 香川大学 医学部 消化器・神経内科学 7. 慶應義塾大学先端生命科学研究所 8. 国立遺伝学研究所 ゲノム進化研究室 9. 国立遺伝学研究所 比較ゲノム解析研究室 10. 九州大学 大学院医学研究院 細菌学分野 11. 東京大学 大学院医学系研究科 医学部 病因・病理学専攻 微生物学講座 12. 国立がん研究センター(理事長) 13. 神奈川県立産業技術総合研究所 腸内細菌叢プロジェクト 14. 筑波大学 トランスボーダー医学研究センター 15. 科学技術振興機構 さきがけ 16. 東京大学 医科学研究所 ヒトゲノム解析センター ゲノム医科学分野
Metagenomic and metabolomic analyses reveal distinct stage-specific phenotypes of the gut microbiota in colorectal cancer

大阪大学 大学院医学系研究科の谷内田真一教授(がんゲノム情報学、前国立がん研究センター研究所・ユニット長)と東京工業大学 生命理工学院 生命理工学系の山田拓司准教授、東京大学 医科学研究所 ヒトゲノム解析センター ゲノム医科学分野(国立がん研究センター研究所 兼任)の柴田龍弘教授、慶應義塾大学先端生命科学研究所の福田真嗣特任教授らの研究グループは、多発ポリープ(腺腫)や大腸がんの患者さんを対象に、凍結便を収集しメタゲノム解析やメタボローム解析を行いました。その結果、多発ポリープ(腺腫)や非常に早期の大腸がん(粘膜内がん)患者さんの便中に特徴的な細菌や代謝物質を同定しました。
これまで進行大腸がんの患者さんの便を用いたメタゲノム解析により、これらの進行大腸が んに特徴的な細菌は特定されていましたが、前がん病変である腺腫や粘膜内がん、すなわち大腸がんの発症のごく初期に関連する細菌については解明されていませんでした。
今回、谷内田教授らの研究グループは、メタゲノム解析により健常者と比較して、前がん病変や粘膜内がんを有する患者さんの便に特徴的な細菌を特定したことに加えて、メタボローム解析を行うことにより病期(病気の進行具合)に伴う腸内代謝物質の変動も検討し、大腸がん発症に関連する腸内環境を明らかにしました。これにより、大腸がんを発症しやすい腸内環境が明らかとなり、大腸がんの予防につながる食事等の生活習慣や腸内環境を改善することにより大腸がんを予防する先制医療が期待されます。
本研究成果は、米国科学誌「Nature Medicine」に、6 月7日(金)0時(日本時間)に公開されました。