東京大学医科学研究所

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発表論文解説

光制御性ウイルスベクター ウイルスベクターの遺伝子発現や増殖を自由自在に操れる世界初の技術

Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
Maino Tahara, Yuto Takishima, Shohei Miyamoto, Yuichiro Nakatsu, Kenji Someya, Moritoshi Sato, Kenzaburo Tani, Makoto Takeda*
Photocontrollable mononegaviruses

再生医療、癌治療、そして遺伝子治療などの分野において近年医療は目覚ましい進歩を遂げています。これら全ての分野においてウイルスベクターは、不可欠な役割を果たしています。ウイルスベクターの性能の一つとして期待されつつも困難とされてきた技術の一つが、ウイルスベクターの遺伝子発現や増殖を意のままに操ることでした。この技術があれば、不要になったウイルスベクターは簡単に取り除くことができますし、また必要な場所、必要な時にだけ増殖させることができ、利便性や安全性が飛躍的に向上します。
今回、田原舞乃主任研究官、竹田誠部長(国立感染症研究所)、佐藤守俊教授(東京大学大学院総合文化研究科)、谷憲三朗教授(東京大学医科学研究所)らの共同研究グループは、マグネットという光スイッチタンパク質を使って、遺伝子発現や増殖を思いのままにスイッチオン・スイッチオフできる世界初のウイルスベクターの開発に成功しました。
同グループは、モノネガウイルスの仲間、麻疹ウイルスと狂犬病ウイルスをモデルに用いて実験を行いました。マグネットをウイルスのポリメラーゼに組み込んで、青色光で照射された時にだけポリメラーゼが働いて、ウイルスが遺伝子を発現し、増殖することを確認しました。また動物を用いた実験で、本ベクターを接種して青色光の照射を受けた癌が、著しく縮小することを確認しました。今後、再生医療、遺伝子治療、癌治療などの分野を一層発展されることが期待できます。