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インフルエンザウイルスの新たな抗原性変化を解明

インフルエンザウイルスの新たな抗原性変化を解明

Nature Microbiology DOI番号:10.1038/s41564-019-0401-1
安原敦洋1、山吉誠也1、木曽真紀1、坂井優子1、古賀道子2、安達英輔2、菊地正2、山田晋弥1、I-Hsuan Wang1、河岡義裕1
1東京大学医科学研究所ウイルス感染分野、2東京大学医科学研究所附属病院感染免疫内科
Antigenic drift originating from changes to the lateral surface of the neuraminidase head of influenza A virus

インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼ(NA)蛋白質に対する抗体の機能解析は、NA蛋白質の酵素活性部位周辺を認識し、その酵素活性を阻害する活性(Neuraminidase inhibition; NI活性)をもつ抗体について行われてきました。NI活性をもつ抗体による感染阻害から逃れるために、NA蛋白質の活性部位周辺にはアミノ酸変異が生じています。しかしながら、活性部位から離れた「側面領域」にもアミノ酸変異が高度に蓄積された領域があります。この領域にアミノ酸変異が生じる理由は不明でした。
東京大学医科学研究所の河岡義裕教授のグループは、NA蛋白質の側面領域を認識する抗体を解析することで、NI活性を持たない抗体がヒトの免疫細胞を活性化することで感染防御することを発見しました。さらに、NA側面領域のアミノ酸変異が、そのような抗体から逃れるために引き起こされていることを明らかにしました。
現在NAの抗原性はNI活性をもつ抗体のみを対象として解析されていますが、本研究の成果はNA蛋白質の抗原性評価方法を改良する必要性を示唆しています。近年の研究により、NAに対する抗体が感染防御に重要であることが明らかとなっているため、本研究の成果はワクチン開発において重要な知見となります。