東京大学医科学研究所

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発表論文解説

動物体内で胚盤胞補完法によるマウス多能性幹細胞由来の血管内皮と血液の作製に成功

Stem Cell Reports 9月20日付(日本時間9月21日)オンライン版 DOI番号:10.1016/j.stemcr.2018.08.015
Sanae Hamanaka,1 Ayumi Umino,1 Hideyuki Sato,1 Tomonari Hayama,1,3 Ayaka Yanagida,1,4 Naoaki Mizuno,1 Toshihiro Kobayashi,1,5 Mariko Kasai,1 Fabian Patrik Suchy,2 Satoshi Yamazaki,1 Hideki Masaki,1 Tomoyuki Yamaguchi,1,* and Hiromitsu Nakauchi1,2,*
1.Division of Stem Cell Therapy, Distinguished Professor Unit, Institute of Medical Science, University of Tokyo, 4-6-1 Shirokanedai, Minato-ku, Tokyo 108-8639, Japan 2.Institute for Stem Cell Biology and Regenerative Medicine, Department of Genetics, Stanford University School of Medicine, 265 Campus Drive, Stanford,CA 94305, USA 3.Present address: Center for Embryonic Cell and Gene Therapy, Oregon Health & Science University, 3303 Southwest, Bond Avenue, Portland, OR 97239, USA 4.Present address: Wellcome Trust-Medical Research Council Cambridge Stem Cell Institute, University of Cambridge, Tennis Court Road, Cambridge CB2 1QR, UK 5.Present address: Center for Genetic Analysis of Behavior, National Institute for Physiological Sciences, 38 Nishigonaka Myodaiji, Okazaki, Aichi 444–8585,Japan
Generation of vascular endothelial cells and hematopoietic cells by blastocyst complementation

東京大学医科学研究所の中内啓光特任教授、山口智之特任准教授、濱仲早苗特任研究員らの研究グループは、多能性幹細胞のキメラ形成能を利用した「胚盤胞補完法」により、血管内皮・血液細胞欠損マウス体内にマウスESおよびiPS細胞(ドナー細胞)由来の血管内皮と血液細胞を作製することに成功した。通常は血管内皮・血液細胞が欠損したマウスは発生初期の胎生期に死亡するが、胚盤胞補完法を用いてこのマウス受精卵にマウスES細胞またはiPS細胞を注入して作製したキメラマウスでは、血管内皮・血液細胞がES細胞またはiPS細胞由来に置き換えられることにより、腫瘍形成などの異常もなく正常に成体まで発育した。
これまで本研究グループは動物体内で多能性幹細胞由来の臓器作製に取り組んできたが、今 回の成果を組み合わせることで、目的の臓器だけでなく臓器内の血管内皮と血液細胞も同時に 多能性幹細胞から作製可能であることが予想される。本研究成果は、動物体内での拒絶反応を 起こしにくい移植用臓器の作製法として再生医療に大きく貢献するものと期待される。
本研究は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の革新的先端研究開発支援事 業インキュベートタイプ(LEAP)における研究開発課題「発生原理に基づく機能的立体臓器 再生技術の開発」(研究開発代表者:中内啓光)の一環として行われた。なお、本研究成果に 関わる基盤的な知見は国立研究開発法人科学技術振興機構(JST) の戦略的創造研究推進事業 総括実施型研究(ERATO)「中内幹細胞制御プロジェクト」(研究総括:中内啓光、平成24年 度終了)から得られたものである。
本研究成果は 2018年9月20日付の科学雑誌 「Stem Cell Reports」のオンライン版に掲載さ れた。