東京大学医科学研究所

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発表論文解説

インフルエンザウイルスが宿主蛋白質の発現を抑制する仕組みを解明

Cell Reports DOI番号:10.1016/j.celrep.2018.06.078
大石康平、山吉誠也、秦裕子、尾山大明、河岡義裕
N-terminal acetylation by NatB is required for the shutoff activity of influenza A virus PA-X

インフルエンザウイルスは、感染細胞における宿主蛋白質の発現を抑制することにより、ウイルスを排除しようとする防御反応を抑制します。この宿主蛋白質の発現抑制にインフルエンザウイルス蛋白質PA-Xが重要であることはわかっていましたが、PA-Xによる宿主蛋白質の発現抑制のメカニズムは明らかになっていませんでした。
東京大学医科学研究所の河岡義裕教授のグループは、PA-Xによる宿主蛋白質の発現抑制にN末端アセチル化酵素複合体NatBが重要な働きをすることを突き止め、さらにNatBによるPA-XのN末端アセチル化がPA-Xの抑制活性に重要であることを明らかにしました。
本研究成果により、インフルエンザウイルスが宿主蛋白質の発現を抑制する分子メカニズムの一端が明らかとなりました。他の多くのウイルスで宿主蛋白質の発現を抑制するウイルス蛋白質の存在が報告されていることから、本研究で得られた知見は、インフルエンザのみならず他のウイルス感染症を理解し、制御する手がかりとなることが期待されます。
本研究成果は、2018年7月25日(日本時間午前0時)に米国科学雑誌「Cell Reports」で公開されます。なお本研究成果は、国立研究開発法人科学技術振興機関(JST)戦略的創造研究推進事業などの一環として得られました。