東京大学医科学研究所

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発表論文解説

クローン性造血のモデルマウスの樹立と解析

Journal of Experimental Medicine (4月11日オンライン版掲載予定) DOI番号:10.1084/jem.20171151
Nagase, R., *Inoue, D., Pastre, A., Fujino, T., Hou, H-A, Yamasaki,N., Goyama, S., Saika, M., Kanai, A., Sera, Y., Horikawa, S., Ota, Y., Asada, S., Hayashi, Y., Kawabata, K.C., Takeda, R., Tien, H.F., Honda, H., Abdel-Wahab, O. and *Kitamura T
Expression of mutant Asxl1 perturbs hematopoiesis and promotes susceptibility to leukemic transformation

遺伝子解析技術の進歩により、一見健常に見える高齢者の造血細胞において遺伝子変異をもつ「クローン性造血」の存在が注目されている。東京大学医科学研究所の北村俊雄教授のグループは、メモリアルスローンケタリングキャンサーセンターの井上大地博士研究員らとの共同研究により、クローン性造血で高頻度に認められる変異型ASXL1を造血細胞特異的に発現する変異型ASXL1ノックイン(ASXL1-MT-KI)マウスを世界に先駆けて作成し解析した。ASXL1-MT-KIマウスは若年期では正常であるが、次第に高齢者に多い骨髄異形性症候群(MDS)に類似した貧血や細胞形態の異常をきたした。白血病患者でよく共存が認められる他の遺伝子異常を加えると早期に 急性骨髄性白血病(AML)を発症することから、ASXL1-MT-KIマウスは前白血病状態を反映しクローン性造血のモデルといえる。 本研究では血液細胞におけるASXL1変異の未知の役割を明らかにしたが、今後このマウスを解析することによってクローン性造血との関連が指摘されている血液以外のがんや動脈硬化との因果関係を調べ、病気の発症を防ぐために研究を行うことは高齢化社会において極めて重要である。