東京大学医科学研究所

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発表論文解説

ヘルペスウイルス感染におけるmTORC2によるTLR3応答制御機構の解明

Nature Immunology DOI: 10.1038/s41590-018-0203-2
佐藤 亮太1、加藤 哲久2,3、千村 崇彦4、齋藤 伸一郎1、柴田 琢磨1、村上 祐輔1、福井 竜太郎1、劉 凱文1、張 韵1、有井 潤2,3、孫 戈虹5、和田 洋6、池上 恒雄7、Glen N Barber8、真鍋 俊也4、川口 寧2,3、三宅 健介1
1.東京大学医科学研究所・感染遺伝学分野、2.東京大学医科学研究所・ウイルス病態制御分野、3.東京大学医科学研究所・感染症国際研究センター感染制御系、4.東京大学医科学研究所・神経ネットワーク分野、5.同志社女子大学・生化学教室、6.大阪大学・生体分子反応科学研究分野、7.東京大学医科学研究所・臨床ゲノム腫瘍学分野、8,マイアミ大学
Combating herpesvirus encephalitis by potentiating a TLR3-mTORC2 axis

ヒトにおいて、二重鎖RNAセンサーであるToll like receptor3(TLR3)およびその下流シグナル分子の機能低下遺伝子変異は、ヘルペス脳炎に対する感受性を高めることが報告されています。このようにTLR3はヘルペス脳炎に対する感染防御に必須であることは既知でありましたが、その応答制御機構は不明でした。今回、我々は代謝センサーであるmTORC2がTLR3応答のマスター制御因子であることを見出しました。mTORC2はリガンドで刺激されたTLR3と会合し活性化されます。活性化されたmTORC2は炎症性サイトカイン産生およびTLR3の核周囲から末梢までの細胞内移行を促進します。細胞内移行はI型インターフェロン産生に必須のシグナル分子とTLR3との会合を促していたことから、mTORC2が炎症性サイトカイン、I型インターフェロン産生、細胞内移行といったTLR3応答の全てを制御していることが明らかになりました。マウスを用いたヘルペスウイルス感染実験において、mTOR阻害剤投与によりヘルペス脳炎感受性になること、TLR3応答を高める抗TLR3抗体投与によりヘルペス脳炎抵抗性になることから、生体においてもTLR3-mTORC2経路はヘルペス感染防御に重要な働きをすることが明らかになりました。本研究の成果はヘルペスウイルスを用いた本研究成果は9月11日午前0時に「Nature Immunology」のオンライン版で公開されました。なお、本研究は日本学術振興会科学研究費補助金事業、文部科学省新学術領域などの一環として行われました。