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新しいゲノム編集ツールCRISPR-Cas3の開発に成功

新しいゲノム編集ツールCRISPR-Cas3の開発に成功

Nature Communications オンライン DOI番号 10.1038/s41467-019-13226-x
Hiroyuki Morisaka#, Kazuto Yoshimi#, Yuya Okuzaki #, Peter Gee, Yayoi Kunihiro, Ekasit Sonpho, Huaigeng Xu, Noriko Sasakawa, Yuki Naito, Shinichiro Nakada, Takashi Yamamoto, Shigetoshi Sano, Akitsu Hotta*, Junji Takeda* and Tomoji Mashimo*(同等貢献、 * 責任著者)
CRISPR Cas3 induces broad and unidirectional genome editing in human cells

大阪大学医学部附属動物実験施設/東京大学医科学研究所の真下知士教授、大阪大学微生物病研究所の竹田潤二招へい教授、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)の堀田秋津講師らの研究チームは、新たに大腸菌由来Type I-E CRISPRシステム(CRISPR-Cas3)を開発し、ヒト細胞でゲノム編集ツールとして利用できることを見い出しました。
CRISPR-Cas9を代表とするゲノム編集ツールは、さまざまなライフサイエンス分野に応用されています。一方でこれまでのゲノム編集技術は、狙っていない場所に変異が入るオフターゲット変異といった安全性への懸念や、知的財産の問題があり、新しいゲノム編集ツールの開発が求められていました。今回開発したCRISPR-Cas3は、狙ったゲノム配列の上流側を大きく削る性質を持ち、オフターゲットへの影響も極めて低いことを明らかにしました。さらに、CRISPR-Cas3を使ってデュシャンヌ型筋ジストロフィー(Duchunne muscular dystryphy: DMD)遺伝子に変異を持つヒトiPS細胞の遺伝子修復にも成功しました。今回開発した日本発の新しいゲノム編集ツールCRISPR-Cas3システムは、従来よりも安全性が高く新たな創薬や遺伝子治療などへの利用、農水産物への利用などさまざまな分野で応用されることが期待されます。
本研究成果は、英国科学誌「Nature Communucations」に12月6日(金)19時に公開されました。