東京大学医科学研究所

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発表論文解説

腸管B細胞の分化に伴うエネルギー代謝経路とビタミンB1依存性の変化

Cell Reports (米国東部時間9月24日のオンライン版)
國澤純、杉浦悠毅、和氣太一、長竹貴広、鈴木英彦、永澤莉沙、四方紫織、本多 久楽々、橋本えり、鈴木祐二、瀬藤光利、末松誠、清野宏
Mode of bioenergetic metabolism during B cell differentiation in the intestine determines the distinct requirement for vitamin B1

国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所の國澤純プロジェクトリーダー(東京大学医科学研究所 客員教授兼務)は、東京大学医科学研究所 清野宏教授、慶應義塾大学医学研究科 末松誠教授(現、国立研究開発法人日本医療研究開発機構 理事長)、杉浦悠毅講師、浜松医科大学 瀬藤光利教授らの研究グループと共に、ビタミンB1を介した生体防御メカニズムを発見しました。
 ビタミンB1はエネルギー代謝に関わる必須栄養素として知られており、その欠乏により神経障害を伴う脚気などを引き起こすことが知られています。今回、研究グループは腸管での生体防御に関わるIgA抗体に着目した研究を行い、腸管においてIgA抗体を産生する細胞へと分化する過程においてエネルギー代謝経路が変化し、その結果としてビタミンB1への依存性が変わることを発見しました。さらにビタミンB1欠乏によるエネルギー代謝不全により、経口ワクチンに対するIgA抗体を介した免疫応答が低下することも明らかにしました。これらの結果は、腸管でのIgA抗体の産生とワクチンという観点からビタミンB1の新しい機能について明らかにしたものであり、食・栄養を介した免疫制御と生体防御との関係を分子・細胞・個体レベルで解明した研究成果と言えます。さらにはこれらの知見を応用することで、新たなワクチンや機能性食品、免疫創薬の開発へとつながるものと期待されます。
 本研究成果は、2015年9月24日(米国東部時間)に米国科学誌「Cell Reports」のオンライン版で公開されます。