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発表論文解説

赤痢菌は感染細胞が菌排除の目的で行う細胞死を自ら阻止する ―赤痢菌のカスパーゼ-4に対する新規阻害因子の発見―

Cell Host Microbe 2013 May 15;13(5):570-83. doi: 10.1016/j.chom.2013.04.012
小林泰良1,2・小川道永1・真田貴人1,2・三室仁美2・金玟秀1,3・芦田浩1,3・赤倉麗子1・吉田光孝4・Magdalena Kawalec5・Jean-Marc Reichhart5・水島恒裕6・笹川千尋1,3,7,8
1.東京大学医科学研究所感染免疫部門、2. 東京大学医科学研究所感染症国際研究センター細菌学分野、3.東京大学医科学研究所細菌感染生物学分野、4.順天堂大学超微形態研究分野、5.ストラスブール大学分子細胞生物学研究所、6.兵庫県立大学ピコバイオロジー研究所、7.日本生物科学研究所、8.千葉大学真菌医学センター
The Shigella OspC3 Effector Inhibits Caspase-4, Antagonizes Inflammatory Cell Death, and Promotes Epithelial Infection

多細胞生物の細胞は、感染やがんで個体全体へ障害が及ぶとき、個体を生かすために自殺(細胞死)を選択する。この「管理された細胞死」は、カスパーゼと呼ばれる一群のプロテアーゼにより制御されているが、未だ不明な点が多い。
今回、笹川千尋(東京大学 名誉教授)と小林泰良(東京大学医科学研究所 学術支援専門職員)らは、赤痢菌をはじめサルモネラ、腸管病原性大腸菌が上皮細胞へ感染すると、生体防御反応としてカスパーゼ4依存的な細胞死が誘導されることを発見した。また興味深いことに、赤痢菌はカスパーゼ4を特異的に阻害する病原因子OspC3を産生・分泌することもわかった。さらにOspC3は、カスパーゼ4へ特異的に結合して、その活性ポケットを塞ぐことによりカスパーゼ4活性を阻害することを明らかにした。OspC3遺伝子を欠損させた赤痢菌を上皮細胞へ感染させると、カスパーゼ4の活性化による炎症性細胞死(パイロプトーシスとも呼ばれる)が引き起こされ感染細胞が排除されることを、細胞および動物個体レベルで明らかにした。
本研究から、腸管粘膜における病原菌排除機構の一端が明らかになり、これを通じてカスパーゼ4が関わる感染症や敗血症に対する阻害薬を開発する手掛かりとなることが期待される。