東京大学医科学研究所

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発表論文解説

新規炎症性腸疾患治療法の開発 ~インターロイキン17Fを抑制することにより、腸内細菌叢を改善し、炎症性腸疾患を予防、治療することができる~

Nat Immunol 18-Jun-18
Ce Tang,1,2, Shigeru Kakuta,2, Kenji Shimizu,1,2, Motohiko Kadoki,1,2, Tomonori Kamiya,1,2, Tomoyuki Shimazu,1, Sachiko Kubo,1,2, Shinobu Saijo, 2, Harumichi Ishigame,2, Susumu Nakae,2 and Yoichiro Iwakura,1, 2
1 Center for Animal Disease Models, Research Institute for Biomedical Sciences, Tokyo University of Science, 2 Center for Experimental Medicine and Systems Biology, Institute of Medical Science, the University of Tokyo
Suppression of IL-17F, but not of IL-17A, provides protection against colitis by inducing Treg cells through modification of the intestinal microbiota

東京理科大学生命医科学研究所、東京大学医科学研究所の研究グループは、インターロイキン17F(IL-17F)を欠損させたマウスは、人の潰瘍性大腸炎によく似た大腸炎を化学物質で誘導した時に軽症になることを発見しました。そこで、IL-17Fの中和抗体を投与したところ、大腸炎の発症を抑制できることを見出しました。この結果は、抗IL-17F抗体が潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患(IBD)の治療薬として有望であることを世界で初めて示したものです。
IL−17Fを阻害することによって大腸炎に耐性になるメカニズムを解析したところ、IL-17Aとは異なり、IL-17Fは腸管で恒常的に産生されており、抗菌蛋白質の産生を誘導することによって腸内の特定の微生物の増殖を抑制していることがわかりました。IL−17Fを欠損させたり、抗体で阻害したりすると、抗菌蛋白質が作られなくなるために、免疫抑制能を持つTreg細胞を増やす性質を持ったクロストリジウム菌や乳酸菌が増殖し、その結果、Treg細胞が増加するために炎症が抑制されることが解りました。
本研究成果は、Nature Immunology誌に6月18日(月)18時(英国時間)付で掲載されます。報道解禁時間は日本時間で6月19日(火)2時となります。