東京大学医科学研究所

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発表論文解説

日本人の身長に関わる遺伝的特徴を解明-19万人の解析から日本人の身長に関わる遺伝的要因の謎に迫る-

Nature Communications DOI 10.1038/s41467-019-12276-5
Masato Akiyama, Kazuyoshi Ishigaki, Saori Sakaue , Yukihide Momozawa, Momoko Horikoshi, Makoto Hirata, Koichi Matsuda, Shiro Ikegawa , Atsushi Takahashi, Masahiro Kanai, Sadao Suzuki, Daisuke Matsui, Mariko Naito, Taiki Yamaji, Motoki Iwasaki, Norie Sawada, Kozo Tanno, Makoto Sasaki, Atsushi Hozawa Naoko Minegishi, Kenji Wakai, Shoichiro Tsugane, Atsushi Shimizu, Masayuki Yamamoto, Yukinori Okada, Yoshinori Murakami, Michiaki Kubo and Yoichiro Kamatani
Characterizing rare and low frequency height associated variants in the Japanese population

理化学研究所(理研)生命医科学研究センターゲノム解析応用研究チームの鎌谷洋一郎客員主管研究員(東京大学大学院新領域創成科学研究科 教授)、秋山雅人客員研究員、久保充明副センター長(研究当時)、東京大学医科学研究所癌・細胞増殖部門人癌病因遺伝子分野の村上善則教授らの共同研究グループは、日本人約19万人のゲノム解析を行い 、身長に関わる573の遺伝的変異を同定しました。
本研究成果は、日本人の身長の違いに関わる遺伝的・生物学的な特徴の理解に役立つと期待できます。また、今回用いた手法はさまざまな多因子疾患の研究などに応用可能です。
今回、共同研究グループは、これまで多因子形質のゲノム解析において評価が難しかった、日本人の頻度の低い遺伝的変異を精度良く評価できるように、「全ゲノムインピュテーション(全ゲノム予測)」用の参照配列を新たに作成しました。この参照配列を用いて、日本人約19万人の身長に関わる遺伝的要因を 「ゲノムワイド関連解析(GWAS)」により調べた結果、573の遺伝的変異を同定しました。また、身長に影響するSLC27A3CYP26B1という二つの遺伝子を新たに特定しました。さらに、低頻度の遺伝的変異は 身長を高くさせる傾向にあることを明らかにしました。これは、身長を高くする遺伝的変異が日本人集団では自然淘汰を受けていた ことを示唆する結果で、欧米人で検証された結果と真逆であり、高身長が日本人にとって何らかの不利な影響を及ぼしていた可能性を示しています。
本研究は、英国のオンライン科学雑誌『Nature Communications』9月27日付け)に掲載されました。